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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

由布院・老舗旅館、熊本・大分地震で半壊から奇跡の復活…全従業員解雇、被害3億円から逆転

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 由布院で育ち、一時は名古屋の大学に進学した高田氏だが、地元に戻り両親、弟の淳平氏と共に家業の旅館を切り盛りする。由布院の旅館は、ほとんどが家族経営だ。そうした「昔ながらの田舎」のような雰囲気と接客が観光客に人気となっている。

 地震前から「由布院らしさ」の活動に取り組んできた高田氏は、同観光協会の常務理事も兼任している。由布院を現在の人気観光地に育て上げた中谷健太郎氏(亀の井別荘相談役、前会長)や溝口薫平氏(由布院玉の湯会長)らの薫陶も受けて活動する。

「地震の教訓から地盤を強化し、建物も木造からRC構造(鉄筋コンクリート造り)に変えました。でも自然景観に合うよう、外壁はスギの木目調にしています。これまでと同様、静けさと緑と空間を大切にしたいのです」(高田氏)

 高田氏が口にした「静けさと緑と空間」は、由布院の“家訓”ともいえるもので、中谷氏や溝口氏が約半世紀前の欧州視察で学んだものだ。

由布院・老舗旅館、熊本地震で半壊から奇跡の復活劇…全従業員解雇、被害額3億円から逆転の画像3
再建した建物の外壁を説明する高田陽平氏

従業員はやむなく解雇、5人が戻ってくれた

 山荘わらび野の再開までには、厳しい現実もあった。被害額は3億円以上となり、しばらくは再開のメドが立たないなか、約15人いた従業員は解雇となった。

「建物の被害よりも、一緒に働いてきた仲間を解雇せざるを得なかったことは断腸の思いでした」と高田氏は振り返る。自身も生活のために飲食店やギャラリーでアルバイトしながら復活に向けて活動した。建設会社がほかの復旧工事で忙しく、思うように再建工事が進まず、もどかしい日が続いたという。

「常連客からの手紙や電話で『再開したら必ず行く』という言葉に励まされました」(同)

 国内の有名観光地の中でも、特に由布院は横のつながりが強い。「ゆふいん音楽祭」などの名物イベント以外でも、大小の会合や勉強会で関係者が顔を合わせて情報を共有する。

 今年2月の再開を前に、解雇した元従業員に声をかけた。そのうちの5人が戻ってくれたという。新しく採用した従業員を含めて「わらび野流のおもてなし」を行う。

 約3500坪の広大な敷地に、客室は13室。全室に専用風呂とキッチンが備わっている。部屋は4タイプあり、「スタイリッシュスイート」や「メゾネットラグジュアリースイート」などタイプによって設えが違う。食事は部屋食からレストラン棟での提供に変え、豊後牛や魚介など地元色を打ち出した豪華なものだ。料理や接客、設備を充実させたため、「1人、1泊2食で3万8000~6万円」と、価格も改定した。

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「山荘わらび野」のメゾネットラグジュアリースイート
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「山荘わらび野」の客室内の温泉
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地元の食材を使った夕食(例)

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