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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

由布院・老舗旅館、熊本・大分地震で半壊から奇跡の復活…全従業員解雇、被害3億円から逆転

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「静けさ」と「緑」と「空間」は守りたい

 多額の借金を抱えても、高田氏は前向きだ。大学での名古屋生活で、「都会にいると息が詰まる。由布院こそが自分の居場所」の思いを強くしたという。

「由布院は晴れて見通しが良ければ、どこからでも由布岳が見える土地です。JR由布院駅前の喧騒を離れると、静けさと緑と空間が残る場所も多い。山荘わらび野も、周辺の山々になじんだ経営をしようと思います」(同)

 前述した“家訓”の基となったエピソードが2つある。ひとつは大正時代にまとめられた「由布院温泉発展策」で、東京の日比谷公園や明治神宮などを設計した日本初の林学博士・本多静六氏が由布院に来て語った講演録をまとめたものだ。特に次の一節を大切にする。

「ドイツのバーデンバーデンのように、森林公園の中にあるような町づくりをするべきだ」

 もうひとつが1971年に中谷氏、溝口氏、故・志手康二氏(当時「山のホテル・夢想園」社長)の若手旅館主人3人が視察した欧州貧乏旅行の成果だ。現地視察の際に、ドイツのバーデンヴァイラーという田舎町の小さなホテルの主人で、町会議員でもあったグラテボル氏が語った、次の言葉が町づくりの大きなヒントとなった。

「町に大事なのは『静けさ』と『緑』と『空間』。私たちは、この3つを大切に守ってきた。100年の年月をかけて、町のあるべき姿をみんなで考えて守ってきたのです」

 この言葉に勇気づけられた3人を中心に昔ながらの風景を維持。志半ばで倒れた志手氏の遺志は、妻の淑子氏(山のホテル・夢想園会長)が継ぎ、現在は娘婿の志手史彦氏が社長として切り盛りする。世代が変わっても「思い」を共有するのが、当地ならではだ。

BCP(事業継続計画)として大切なこと

 2011年3月11日の東日本大震災で被災地が壊滅的な被害を受けて以来、それ以前からあった「BCP」(事業継続計画)という言葉が、ビジネス現場に浸透した。

 筆者も東日本大震災前からBCPの取材を行い、震災後は被災企業からBCPの成果や反省点を取材した。「重要データのバックアップは、複数の場所に保管する」「従業員の緊急電話網は、その順番通りにいかない」などは、当時多くの企業が教訓としたことだ。

 災害以外に、テロや犯罪の危険性も無視できない。そのために「できるだけ積立金を準備する」もあり、「最大のBCPは、従業員が無事なこと」という被災企業の言葉も印象に残った。

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