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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

由布院・老舗旅館、熊本・大分地震で半壊から奇跡の復活…全従業員解雇、被害3億円から逆転

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過去2度の地震の時、由布院はどうしたか

 由布院はこの半世紀に2度、地震による被害・風評被害に見舞われた。1975年の大分県中部地震と、2016年の熊本・大分地震だ。

 1975年は、現在よりもずっと情報が乏しい時代だ。「九重レークサイドホテル倒壊」のニュースで、「木造建築の多い由布院の旅館は軒並み潰れた」と思いこんだ宿泊予約者からキャンセルが相次いだ。「由布院は元気です」をPRするために始めたのが、現在でも人気企画の「辻馬車」運行だ。前述の溝口氏も御者を務め、観光客の本音を聞いた。

 2016年の地震では、逆に過度の情報を流さず、正確で必要な情報のみを発信した。すでに由布院の知名度は高く、テレビやインターネットでさまざまな情報が流れ、風評被害が広がる恐れもあったからだ。

 年間観光客数が400万人に戻っても一段落とはいかない。外国人も含めた一見客も増え、公衆トイレの使用方法や、川へのゴミ捨て禁止などのマナーも伝えている。

由布院・老舗旅館、熊本地震で半壊から奇跡の復活劇…全従業員解雇、被害額3億円から逆転の画像7
由布市庄内町にある「名水の滝」

「混雑しすぎて、かつての由布院とは違う」というマイナスイメージを払拭するために、近隣の名所を案内することもある。前出の生野氏は「先日は取材に同行して、庄内町阿蘇野の『名水の滝』に行きました。希望される方には、こうした場所も紹介したいです」と話す。

 災害からの復活は、企業単独ではできない。観光地の場合は特に、地域との連携や「魅力の再発見」も大切だ。ふとした縁でテレビに放映され、商品の売上拡大につながった例もある。結局は「日頃からの誠実な付き合い」が欠かせないのだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

 

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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