故・萩原健一が『いだてん』に出演…ショーケンがNHKにしか出なかった“本当の理由”

NHK『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の公式サイトより

 

 視聴率的には不調が続く、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』。6月30日放送回からは、阿部サダヲ演じる田畑政治が中心となって展開される第2部がスタートするが、この回には、ショーケンこと故・萩原健一が高橋是清役で“出演”することでも話題となっている。

 病が深刻化するなかでショーケンがカメラの前に立ち続けようとしたことはひとつの美談ではある。しかし俳優としての晩年は、決して恵まれたものではなかったのである。

復帰後、日本映画への思いを語るも、以後は出演作がゼロ

 ショーケンは、2005年に映画関係者への恐喝事件を起こし逮捕されている(その後起訴され、判決は執行猶予付きの有罪)。実にこれが、通算4度目の逮捕だった。

 以後、しばらくの活動休止期間を経て、小栗旬主演の映画『TAJOMARU』(2009年)で本格復帰。足利義政を演じた同作での演技は高く評価され、日本映画批評家大賞「審査員特別男優賞」を受賞した。

「悪いことばかりやってきたんですが、こうやって賞をいただけると本当にうれしいです。今度還暦になるもんで、これを期に、一歩一歩、丹念に、丁寧に仕事をやっていきたいと思います。皆さん、どうぞ日本映画を宜しくおねがいします」

 授賞式ではこのようにスピーチしてみせたショーケン。それは、過去の誤ちを反省し、俳優という職業、映画というジャンルに真摯に向き合おうという姿勢がうかがい知れるものだった。しかもこの時期にショーケンは、複数のバラエティ番組、トーク番組に出演するなどして復帰をアピール。ある番組では、“谷崎潤一郎の『痴人の愛』を原作としたものなど、映画の企画がいくつも進んでいる”といった趣旨の発言もしている。
 
 ところが、以後の7年間、その出演作が世に出ることはなかった。2010年以降の出演作品をリストアップしてみよう。(年は放送年)

・2016年=NHK BSプレミアム『鴨川食堂』
・2018年=NHK総合『どこにもない国』、テレビ朝日『明日への誓い』、NHK総合『不惑のスクラム』
・2019年=NHK総合『いだてん』

 以上である。10年間で5作品。すべてテレビドラマだった。

映画の企画だけは浮上するも、1本もまとまらなかった背景

 2011年に発覚したとされる難病(消化管間質腫瘍)との闘いと、同年に結婚したモデルの冨田リカと穏やかに生活することを優先していたことこそ、寡作の何よりの要因ではあるのだろう。だが、音楽活動やバラエティ番組への出演はあったことを考えてみれば、そればかりが理由ではないだろう。ひとつ考えられるのが、製作者側が“過去のトラブル歴”を恐れ、怖くて使えなかったというものだ。

「それは確かにありました。ただしショーケンさんは黒澤明さんが起用したほどで、映画監督が一度は使ってみたいと思うだけの魅力は最後までありましたし、実際、映画の出演オファーは途切れなかったといいます。晩年の出演作品が少ないのは、出演交渉段階での問題なのでしょう」(映画関係者)

 黒澤明に限らず、日本映画史に名を残す巨匠、名匠たちと仕事をしてきたショーケンは、脚本、演出に対して極めて厳しい役者でもあった。そのため、それらに異議を唱えることも多く、製作者側と揉めることが多かったのだ。

「スターが、作品の質を上げるために自分の意見を言ったり脚本に口出ししたりするというのは、昔であれば当たり前の風景だったでしょう。とはいってもショーケンさんは口が悪かったし、その点において過剰な面が確かにあり、話がまとまらずに出演がご破算になってしまうことも多かった」(同・映画関係者)

 しかし、このように語る関係者も。

「ただ、生前のインタビューをもとに没後に出版された書籍『ショーケン最終章』(講談社)によれば、撮影が済んだものの資金不足を理由に公開されなかった『朝日のあたる家』(2013年公開の同名作とは別作品)という作品もあったとか。ほかにも同様に、具体的に企画が進みながら頓挫した作品がいくつもあったとも。いずれにしても、『TAJOMARU』のあとは公開された映画出演作はゼロ──という寂しい結果になっています。これは本人にとって、極めて不本意だったはずです」(映画雑誌ライター)

 亡くなるまでの10年間、演技をする機会に恵まれなかったショーケンだが、7年間のブランクを経て出演したテレビドラマ『鴨川食堂』以降は、それまでよりも出演ペースが上がっている。

「このドラマで女優の忽那汐里と共演したことが縁で、個人事務所に所属しながら彼女が所属するオスカープロモーションと業務提携関係を結んだんです。それがプラスに働いたんでしょう」(テレビ業界関係者)
 
 とはいえ、オスカーといえば多くの女優やモデルを抱える大手芸能プロダクション。逮捕歴のあるショーケンを傘下に収めることに、オスカー側の躊躇はなかったのか。

「最近の芸能界では、ベテランの大物タレントが個人事務所に属しながら、大手と業務提携するパターンが増えています。往時の勢いはなくなったベテラン側にすれば、マージンを取られても仕事を取ってきてもらえるメリットは大きな魅力。一方のプロダクション側にとってみても、ネームバリューのある大物は営業がしやすいし、自社の所属タレント一覧に大物の名前が並ぶのはプラス。また一方で、所属ではなく“業務提携”という形であれば、タレントを丸抱えして丁寧に面倒を見る必要はない。つまり、お互いにとってメリットがあるわけです。オスカーさんとしても、“業務提携なら”ということだったのではないでしょうか」(同・テレビ業界関係者)

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