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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

創業110年・味の素、超高収益の強さの源泉…社内の反対押し切り絶え間ない商品改善

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 その後、「クノールカップスープ」のリニューアルにおいては、粉の溶け方の改善といった商品改良に加え、斬新なパッケージデザインを採用している。さらに、予算の制限により実現しなかったテレビCMの代わりに、カップスープのイメージソングを制作し、ラジオで放送している。

 また、冷凍食品に関しては、スーパーでの試食販売や大幅値引きといった販促費へのコストを抑え、ブランド広告費の増加、原材料の質の向上による商品力の強化に取り組んでいる。

 マヨネーズでは、消費者が容認できる卵の鮮度は採卵3日以内であるとのデータを基に、3日以内の卵だけを原料とする「ピュアセレクト」を誕生させている。

何がマーケティングとイノベーションを妨げるのか?

 こうした話は一言でまとめると、単に「おいしい食品をつくろう!」という当たり前のことだと多くの読者は思われるだろう。しかしながら、とりわけ大企業においては当たり前のことすらスムーズに進捗せず、結局、頓挫してしまう場合が少なくない。

 味の素においても、たとえば、冷凍食品の改良に対して、工場からは「原材料費がかさむと工場での利益が落ち、その責任を取らされる」といった理由により、当初は強い反対があった。また、マヨネーズに対しても、養鶏会社からは「供給責任が持てない」、工場サイドからは「日付管理が厳しくなり、負担が増える」といった強い反対の声が上がっている。

 もちろん、新しいことに対して、すべて賛成することが正しいわけではないが、自らの部署において不利益になることを理由に反対することは、往々にして顧客や全社的利益への貢献を妨げることにつながる。円滑なマーケティングやイノベーションなど、実現できるはずがない。

 近年、数多くみられる日本の伝統的大手企業の成長鈍化の要因に関して、もちろん国内市場の縮小やグローバル化に伴うコンペティタ(競合相手)の増加などの影響もあるだろうが、本質的にはこうした組織内におけるマネジメントの問題がより深刻な場合が多い。

 何よりも、顧客や全社的利益への貢献を優先する意思決定が円滑に行われるシステムや組織体制が、日本の伝統的大手企業の今後のさらなる成長にとって重要なポイントになってくるだろう。
(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

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