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ビリ店長を優秀店長に変える「リベンジ食事会」に潜入!躍進する高級メガネチェーンの異例の試み

文=山田稔/ジャーナリスト
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 選んだ理由としては、「(コロッケは)揚げてあるから、次回は(売り上げが)上がるようにと選びました」「“シウマイ”には“うまい”という文字が入っています。次回はうまいこといくように」「この店(穴子寿司)は、老舗で創業100年以上。ビジョンメガネも100年以上続くように」などを挙げていた。各自リベンジに向けたメッセージで、自分自身をアピールした。

 食材のプレゼンタイムに入ると参加者の緊張も和らぎ、発言に笑い声も漏れるようになった。食材の紹介が終わると、それぞれ食材を分け合い、経営陣や幹部を交えて食べながら、参加者同士の歓談が続いた。そのうち、声優事務所出身という店長が「物まねをやります」と宣言。アニメ『サザエさん』のマスオさんと穴子くんの会話を披露し、場は一気に盛り上がった。

 食事会は夜9時ごろまで続き、13人の店長たちは連帯感を強め、リベンジを誓いながら会場を後にした。

試験的に行った1月の会では、翌月3人が「優秀店長」に

 リベンジ食事会は1月に試験的に実施した。その時は15人が参加。2人の店長が大阪名物「551蓬莱」のシュウマイを買ってくるという“カブり”が発生したり、「固い絆」をアピールすべく持ち込んだ“決して割れない”という触れ込みの固いパンが、あっさり割れてしまうというハプニングもあった。一方で、九州エリアの3人の店長は事前に話し合って明太子の関連食材を用意するなどチームワークの良さを発揮した。

 リベンジを誓った食事会の翌月、15人中3人の店長が“ビリ店長”を脱出。売り上げ目標達成率上位者の「優秀店長」に躍進したという。4月の正式なリベンジ食事会の成果が気になるところだ。

 ビジョンメガネは2013年、民事再生法の適用を申請。スポンサーを得て企業再生に取り組み、現在は「V字回復を終え、継続成長のステージにある」(日高CEO)会社だ。

 こうした取り組みを行う狙いについて、日高CEOはこう語る。

「優秀店長を対象にした会食も行っていますが、むしろスポットを当てるのは達成率下位に甘んじた店長たちだと思い、彼らのモチベーションを上げ、リベンジしてもらうことを目的に始めました。弊社はメガネ量販店ではなく、メガネを通じてスタッフのサービスを売っています。メガネのセット単価も約3万5000円と高めです。そうした販売スタイルを維持し、会社を継続成長させるためには、現場の店長のモチベーションを高めることが不可欠なのです。食事会では叱責は一切しません。食事会に参加することで、本人たちも自分の置かれた状況を理解していますし、仲間と楽しく語り合うことで、次はがんばろうという意識になってもらえればと思っています」

 成績上位の店長を集めて表彰したり、招待旅行を企画するケースはいくらでもある。だが、販売目標達成率の低い店長だけを集めた「リベンジ食事会」は異例だ。経営陣と現場とのコミュニケーション密度を測る意味でも、おもしろい取り組みといえるだろう。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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