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町の和洋菓子店が相次いで倒産している…廃れる「贈答」習慣、コンビニスイーツの台頭

構成=長井雄一朗/ライター

日持ちしない“伝統の味”が苦境に

――先ほどの5つの要因を見ても、老舗にとっては苦境が続きそうですね。

 老舗店の菓子は日持ちしないことも逆風になったようです。花園万頭の商品の消費期限は3日でしたし、物によっては当日中に食べなければなりません。一方、駅のお土産店などで売れるのはクッキーなどの日持ちする菓子が多く、1000円で10個入りなどコスパも良い。このため、たとえば出張帰りに社内で配るのにちょうどいいわけです。昔は日持ちしないことが価値になっていたのですが、そうではなくなったということでしょう。

 05年あたりからは新興勢力の台頭が目立ちますが、これらは自社で職人を抱えず、生産は下請けにOEMで委託し、商品開発とパッケージデザインなどの販売促進に力を入れるという、老舗店とはまったく違うビジネスモデルを採っているケースが目立ちます。

――老舗の体制が裏目に出ているような印象ですね。

 自社で工場を保有し製品開発から製造まで行い、新鮮でおいしさを保つために日持ちしない菓子をつくるところに老舗としての価値があったのですが、確かに、それらが今は逆風になっています。

――これから、町の「和洋菓子店」はどうなるのでしょうか。

 消費者の意識や社会環境の変化により、「わざわざ専門店で買う必要はなく、コンビニスイーツで十分」となっているのが実情です。さらに、人口減少が深刻な地方では、あらゆる個人消費が停滞しています。手堅い顧客を確保している老舗店であっても現状維持が難しい。このため、顧客の嗜好に合った商品開発やサービスの提供が求められますが、変化という意味では、伝統の味を受け継ぐ老舗よりもスピード感に勝る新興勢力の方が優位に立ちやすいと見られます。

 これからの老舗店は、ひたらす伝統の味を守っていくか、あるいは客層の嗜好に合わせて大胆な改革を行うか、選択を迫られています。また、菓子業界全般も、味と品質を追求した高級品路線か、コンビニスイーツのようなコスパ重視か、といった二極化が進むと思われます。
(構成=長井雄一朗/ライター)

【※1】
本調査の「和洋菓子店」には、「生菓子製造業」「ビスケット類・干菓子製造業」「米菓製造業」「菓子小売業(製造小売)」を含む。

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