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曽和利光「人と、組織の可能性を信じる世界のために」

マネジメント能力の低いマネジャーでも組織がうまく回る方法

文=曽和利光/株式会社人材研究所代表
マネジメント能力の低いマネジャーでも組織がうまく回る方法の画像1「Gettyimages」より

人はそんなに変わらない!

 
 よくロックやヒッピー文化の人たちが“Don’t trust over thirty.”と言います。教育学部出身の私が言うのもなんですが、現実的にはある程度のオトナになってしまえばなかなか人は変わりません(そういう私はすでにアラフィフです)。

 いや、もちろん多大な努力やインパクトのある出来事があれば変わることはありますが、それは一部の人でしょう。特に、基礎能力や性格などについては、知識やスキルや行動習慣よりも変わりにくいとされています。これは年齢差別とかではなく、能力には「臨界期」(人間は特定の能力を学習するのに適切な時期があり、それを逃すといくら努力しても限界がある)があるという現実です。こういう現実を踏まえずに、素朴に「人はいつからでも変われるのだ」と、人に変わることを要望するほうが残酷なことではないかとすら思います。

マネジメント研修は意味があるのか

 

マネジメント能力の低いマネジャーでも組織がうまく回る方法の画像2『コミュ障のための面接戦略』(曽和利光/星海社新書)

 そこで、考えてみたいのが、全国津々浦々、さまざまな企業で行われているマネジメント研修についてです。私はさまざまな会社に対して人事コンサルティングをしているのですが、ほぼ100%のクライアントが組織課題の一つとして「中間管理職、マネジメント層の不足」もしくは「マネジャーのマネジメント力不足」を挙げます。これだけ言われると、世の中にちゃんとしたマネジャーなどいないのではないか、そもそもちゃんとしたマネジャーになるとか探すとか自体が意味のないことなのではないかと思えてきます。

 そして、そういう会社は多くが解決策として「マネジメント研修」をやっています。マネジャーとしての心得とか、部下の声は傾聴しろ、こんなふうにフィードバックしろ……等々の「知識」のインプットです。もちろん、研修は基礎知識のインプットにはなりますし、何かのきっかけにはなると思いますのでマイナスではありませんが、これが一番効果的な策なのでしょうか。

繰り返しトレーニングしなくては、スキルは身につかない

 というのも、マネジメントの力とは、よく「マネジメントスキル」と言われるように、「スキル」(技能)だからです。スポーツの技能と同じように、やり方を聞いたらすぐにできるというものではありません。何度も何度も繰り返し練習して初めて、あまり意識しなくても自動的にできるように習慣化されるものです。そのため、座学によって知識をレクチャーしただけでは、決してできるようにはなりません。

曽和利光/人材研究所代表

曽和利光/人材研究所代表

京都大学教育学部教育心理学科卒。新卒でリクルートに入社、2009年まで人事や人事コンサルティングを行う。人事GMとして、最終面接や人事担当者トレーニングなども担当。その後、ライフネット生命などのベンチャー企業の人事責任者を経て、現職。現在は、日系大手から外資、ベンチャー、中小企業様に至るまで、様々な会社の、人事や採用に関するコンサルティング、トレーニング、アウトソーシングの事業を推進中。
日本採用力検定協会理事/日本ビジネス心理学会理事/情報経営イノベーション専門職大学客員教授
株式会社人材研究所

Twitter:@toshimitsu_sowa

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