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『いだてん』「今までで一番おもしろい」と絶賛続出…金栗四三が松岡修造ばりの暑苦しさ

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『いだてん~東京オリムピック噺~』公式サイトより

 NHK大河ドラマ『いだてん』の第21話が2日に放送され、平均視聴率は前回から0.1ポイント減の8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。4週連続で8%台を推移しており、低視聴率ながらも固定ファンがガッチリと支持している構図がうかがえる。

 今回から、日本における女子スポーツ黎明期が描かれることになる。ドイツで女性たちがスポーツを楽しんでいる光景を目撃して衝撃を受けた金栗四三(中村勘九郎)は、女子スポーツの振興に取り組みたいと嘉納治五郎(役所広司)に相談。その結果、東京府立第二高等女学校、通称「竹早の第二高女」で教鞭をとることとなった。この第21話は、女学校の教師となった金栗が松岡修造のような暑苦しさでスポーツの楽しさを女学生たちに伝える――というストーリーだ。

 これまで繰り広げられてきた「金栗が日本人として初めてオリンピックに参加する」「8年ぶりにオリンピックが開催され、金栗も雪辱を期して参戦する」といった規模の大きな話に比べれば、出来事としては非常に小さい。全国各地にある女学校のひとつで、たった一人の教師が女子スポーツの振興に取り組み始めたというエピソードでしかないからだ。

 だが、視聴者からの評価は上々。「今までで一番おもしろかった」「オリンピックや競技会のイベントがあったわけでもないのに、すごく良かった」「時間があっという間に過ぎた」「現代につながる重要な話だった」と、絶賛する声が非常に多い。

 多くの人がそう感じた理由は、さんざん使い回された表現を借りれば「この回で描かれた出来事そのものは小さな一歩だが、日本のスポーツ史にとっては大きな飛躍であったから」ということになるだろう。

 この時代の女学生たちは、「いかに早く嫁に行けるか」で自分たちの価値を図っていた。つまり、他人の評価で自分の価値を決めていたのだ。何しろ、女学校に卒業まで在籍する人は負け組で、結婚して中退するのが勝ち組とされていたのだ。さらに、「運動したら色が黒くなり手足も太くなって嫁のもらい手がなくなる」と信じられていたため、積極的にスポーツに取り組もうとする女性は極めて少なかった。

 だが、純粋であるゆえに空気を読むことを知らない金栗は、そんな価値観をいとも簡単に打ち破る。女学生たちも当初は金栗を敬遠していたが、好奇心と負けず嫌い精神が上回り、すぐにスポーツの魅力にはまってしまう。金栗から槍を受け取って投げた村田富江(黒島結菜)が口にした「くそったれー」の叫びは、女性たちが決まりきった価値観のなかで決められた生き方しかできないことへの怒りと、そんな殻に自分を押し込めていた自分自身への怒りを込めたものであったのかもしれない。

 今では、女性がスポーツをするのは当たり前だ。だが、本編後の『いだてん紀行』では、1920年のアントワープオリンピックでは女性参加率が2.4%だったことが明かされた。それから100年後の2020東京オリンピックでは、男女の参加比率がほぼ同じになるという。だが、そこに至るまでには「そんなことをしたら嫁に行けなくなる」「はしたない」と揶揄され、好奇の目にさらされながらもスポーツに取り組んだ、村田富江のような先駆者たちの存在があった。

 つまりこの回では、「日本における女子スポーツの始まり」という大きな一歩が描かれたのだ。ちなみに村田富江は架空の人物であるため、実際の歴史に名前は残っていない。このことは、オリンピックや競技大会などで名前を残した人物だけがスポーツの歴史をつくってきたのではないことを表しているように思える。視聴者からも「スポーツの歴史は、女性の人権の歴史でもあった」「最初の一歩が今につながっている。金栗以降の女子の活躍を思い出して胸が熱くなった」「今では当たり前にある女子スポーツが、実はおじさんたちの尽力と若い女の子たちの勇気のもとに確立されたものだとは」など、この回のテーマに感動する声が続々と上がった。

 新たな時代を切り開いた若い女性たちは、社会に対して「くそったれ」との思いを抱いていた。これに同感する声も多く、SNSには「100年後も私たちは『くそったれー』と叫んでいる」「100年たっても、くそったれな案件が多すぎる」「今はだいぶ生きやすくなったけれど、それでも女性たちは『くそったれ』の一言とともに生きている」といった書き込みがみられた。

 女子スポーツの世界では、100年前に道を切り開いた先駆者がいた。だが、女性の社会参画という広い範囲でいえば、日本には100年前から進歩していない面もある。だが、脚本を手掛ける宮藤官九郎の意図は、ここで日本の現状を悲観視することではないはず。筆者は、「100年たっても女性は『くそったれ』と言わなければならないかもしれないが、いつどの時代の人も、後世の人々のために道を切り開く存在になり得る」という、未来への希望を込めた脚本だと解釈した。小さな事象を通してスポーツ史の大きな転換点を描き、それとともに現代に通じる示唆を与えた第21話。日本スポーツ史を骨太に描くとともに、現代に向けても問題提起を行った前週に続いて、実に大河ドラマらしい良回だったと評価したい。

 次回予告には、一段高い場所で旗を掲げる村田富江に呼応して女学生たちがいっせいにこぶしを突き上げるという勇ましいシーンがあり、「何これ、楽しみでしかない」「女子スポーツ編、めちゃくちゃおもしろくなってきた」「黒島結菜ちゃん凛々しい」「新時代の女性って感じがしてかっこいい」と視聴者の期待も高まっている。劇中で関東大震災が起きるまであと約3年。悲しい出来事の前に、楽しい回を1回でも多く見たい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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