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すき家、空前の繁栄…値上げでも大幅増益、吉野家は値上げで深刻な客離れ→利益ほぼゼロに

文=佐藤昌司/店舗コンサルタント
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 一方、吉野家は季節商品の面で競争力を発揮できなかった。19年2月期の既存店売上高の推移を見ると、18年3~9月まではすべての月が前年を上回っており、商品の打ち出しなど施策に特に問題は見受けられなかった。しかし、18年10月~19年2月までは逆にすべての月がマイナスとなっており、その理由を探るべく諸状況を確認してみると、季節商品面で高い競争力を発揮できなかったことが販売不振の元凶として浮かび上がってくる。

 そのひとつが、コンロに載せて煮込みながら食べる鍋商品「牛すき鍋膳」だ。吉野家は2013年冬に牛丼チェーンとして初めて鍋商品として同商品を投入したところ人気に火がつき、17年度までの累計で5000万食を販売する大ヒット商品となった。18年も11月1日から売り出し、集客を図っている。ただ、価格は並盛りで690円と前年より40円高く、割高な印象があった。

 一方、すき家は「牛すき鍋定食」(並盛り780円)を前年より2週間早い11月中旬に売り出して対抗。価格を前年より100円高くしたが、牛肉の量を25%増やしたほか、タマゴを2つにし、野菜も増量して単純な値上げとなることを回避している。松屋は「牛鍋膳」(並盛り590円)を10月上旬から販売し、鍋商品市場に参戦した。このように競合が鍋商品を強化したこともあり、吉野家は鍋商品で競争力を発揮できなかったといえる。

 吉野家は鍋商品以外でも競争力を発揮できなかった。17年冬に販売した「豚スタミナ丼」を18年冬は見送ったことが響いた。「牛すき鍋膳」の販売に集中する戦略だったとみられるが、それがアダとなってしまった。

 一方、松屋はすき家同様、季節限定商品を次々と投入する戦略を採用して対抗した。18年冬は「牛鍋膳」を皮切りに、「チーズタッカルビ鍋定食」「四川風麻婆鍋膳」「鶏タルささみステーキ定食」といった季節限定商品を2週間に1回程度のペースで投入した。この戦略が功を奏した。

 このように吉野家は、競合と比べて商品面で目新しさを打ち出すことができず、競争力を発揮できなかった。このことが不振につながっている。

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