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風俗街だった五反田と地味な田町、一大ベンチャー企業集積地に変貌…自治体の努力が実る

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 五反田にITベンチャーが集積するようになったのは、五反田駅の東側にソニーがあったことが大きい。ソニーの子会社・下請け企業が五反田駅周辺に固まり、それが次々とベンチャーを呼び込むことにつながった。ほかにも、五反田駅界隈にITベンチャーが集まってくる理由がある。品川区の職員は言う。

「もともとITベンチャーは、渋谷に多く集積していました。しかし、渋谷はオフィスの賃料が高く、新興ベンチャーには手が出せない地です。しかも、渋谷のオフィスはやたら広くてITベンチャーにはオーバースペック。一方、五反田駅界隈は再開発が進んでおらず雑居ビルが多く残っていました。それが幸いにも、少人数のITベンチャーに向いていたのです。そうした評判が業界で流れ、ITベンチャーが集まるようになったのです」

 五反田駅は渋谷駅や品川駅からも近く、どこに行くにもアクセス至便な点もITベンチャーに人気の理由だ。

 ITベンチャーが集まりだしてから、品川区も創業支援に力を入れるようになり、ベンチャー企業間の情報交換の場を設けたり、スタッフの採用支援を助けたり、最近では銀行の融資を受けるサポートにも取り組んでいる。昨年には五反田にオフィスを構えるベンチャー数社によって五反田バレーと呼ばれる団体も発足した。

 ITベンチャーで盛り上がりを見せる五反田駅界隈だが、IT業界では新たに港区の田町駅界隈に熱視線が注がれるようになっている。業界関係者は言う。

「田町駅には、NECが本社を構えています。そのため、一帯はNEC城下町といわれるほど、子会社や関連会社、取引のある企業が集積しています。五反田のソニー村と同様に、田町はNEC村です。そうした環境が、ITベンチャーを呼び込む素地になっています」

 田町駅は東京駅や品川駅に近く、羽田空港も利用しやすい。これまで田町駅は港区という超がつくほどの一等地だったが、都心とは思えないほど街は倉庫街といった趣を漂わせていた。しかし、田町駅を拠点にして、日本各地と取引する、そんなベンチャーが田町に集まり始めている。いまだITベンチャー集積地としては五反田が根強い人気を誇っているが、田町が猛追している。ITベンチャー争奪戦は、東京五輪が終幕する2020年秋ごろから本格化するとみられている。

 これまで風俗街のイメージが強かった五反田、そして山手線の駅なのに地味な存在だった田町に注目が集まる。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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