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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

ランチビュッフェで客は“元が取れない”カラクリ…「元を取りたい」が大きな損を生む

文=大江英樹/経済コラムニスト
ランチビュッフェで客は“元が取れない”カラクリ…「元を取りたい」が大きな損を生むの画像1「Gettyimages」より

 長期休暇にあちこちに出かける人も多いでしょうが、旅行とまではいかなくても一家で外食に出かけるという人も多いと思います。そんな外食のなかでも、ランチビュッフェというのは多くの人に人気があります。その理由は、

(1)決まった料金で好きなだけ食べられるからお得感がある
(2)自分の好きな物が好きなだけ食べられる
(3)料理の種類がたくさんあるので楽しめる

といったところにあるのでしょう。確かに目の前にごちそうが並んでいると、あれもこれも食べたくなるという気持ちはよくわかります。たとえば料金が2,000円だったら、絶対2,000円以上食べて元をとってやろうという気持ちにもなりがちです。ところがランチビュッフェではまずほとんどの場合、元を取ることはできません。その理由はどうしてなのでしょうか。

ランチビュッフェで客は“元が取れない”カラクリ…「元を取りたい」が大きな損を生むの画像2『お金の常識を知らないまま社会人になってしまった人へ』(大江英樹/PHP研究所)

 いくら食べ放題とはいっても、相手も商売ですから当然、自分のところが損になるような価格設定にはしていないはずです。たとえば、もっともシンプルでわかりやすいのは「ドリンクバー」です。通常、ファミリーレストランなどではドリンクバーはだいたい200円~300円ぐらいの価格ですが、原価はせいぜい5円~15円程度だそうです。これで元を取ろうと思ったら20杯も30杯も飲まなければならないわけで、これはどう考えても無理です。ランチビュッフェの場合は、これに加えていくら大食いの人がたくさん食べても絶対に元は取れない価格構造になっているのです。

 そもそも飲食店のコスト構造は固定費と変動費から成り立っています。店を開けたことで、お客が1人もこなくてもかかるのが固定費(家賃や光熱費、人件費等)、来た人数分に比例してかかるのが変動費(食材費等)です。したがってお客が1人も来なければ固定費分がまるまる赤字です。お客が1人来れば(1人当たりの料金-変動費)だけ赤字が減ります。したがって、たくさん来れば来るほど儲けは多くなります。

普通の定食以上に儲かるような構造

 たとえば、あるレストランで普通の定食の値段が1,000円だとします。この場合の変動費、すなわち食材費が200円だとすると、このお店では1人のお客が来るたびに800円の粗利益が出ます。もしこのお店の固定費が月間30万円だとすると、1カ月で375人のお客が来ればトントンとなり、それ以上増えるごとに利益になります(800円×375人=30万円)。

大江英樹/経済コラムニスト

大江英樹/経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。野村證券で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事した後、2012年にオフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。『定年楽園』(きんざい)『その損の9割は避けられる』(三笠書房)『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
株式会社オフィス・リベルタス

Twitter:@officelibertas

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