美容整形、知ると恐くてできない?事故多発の実態…肌ボコボコ、脱毛後に毛生える

「Getty Images」より

 美への願望の低年齢化や、プチ整形のカジュアル化が進んでいる。タレントの有村藍里の“整形告白”が注目されたように、最近は美容整形がポジティブなこととしてとらえられはじめ、さらに美容医療の敷居は下がりそうだ。

 その一方で、国民生活センターに寄せられる、美容整形に関係する相談件数は年間1200件を超えており、その数も「氷山の一角にすぎない」という専門家は少なくない。

 実際、国民生活センターのウェブサイトにある「最近の事例(美容医療サービスに関する相談)」を閲覧すると、目の下のクマに悩んでヒアルロン酸注射を受けたが「対価に見合う結果が得られなかった」という美容皮膚科の例や、薬剤3回コースのホワイトニング治療で「残り1回分を利用しようとしたら(審美歯科側から)契約期間は終了したと言われ」未受領分薬剤の受け渡しを望む利用者の声などが挙げられている。

 ほかにも、「傷痕は残らない」との事前説明で包茎手術を受けたが、「赤く輪のような傷が残った」という男性の被害報告、全身レーザー脱毛の施術で「全身に湿疹が出た」との事例など、返金や解約を希望する苦情例も寄せられている。

利用者のより具体的な被害の模様から学ぶ

 クロス・マーケティング社が行った直近(2019年2月実施)のインターネット調査「美容医療に関する調査」から、回答者のエピソードを一部抽出してみよう。実被害の模様がより具体的だ。また、これら広告金額や謳われる施術効果と実態の相違が著しいクリニックの場合、利用者の訴えや苦情に対して、いい加減な対応をする点が共通しているようだ。

・広告に出ていた金額は本当に最低限で、満足のいくものにしたかったら、何倍も積み重なる。(20代女性)

・5回の体験コースを申し込みしたら、3回目になって、5回目以降の契約を強引に勧められた。(30代女性)

・わき脱毛1万円で通い放題だったが、全然脱毛されず、毎回毛が生えてくる。(30代女性)

・施術の詳細について問い合わせたが、途中で返信がなくなった。(40代女性)

・施術前よりも肌の表面がボコボコになり、人前で肌をさらせなくなった。年数がたてば落ち着くといわれてそのままにされた。(40代女性)

・しっかりと肌の状態を診察しないまま勧められた施術を行ったら、かぶれてしまった。それを問い合わせたら、「アレルギーではないか?」「調べてみたらどうか?」と言われ、がっかりした。(30代女性)

 これらの実体験に基づく声に目を通すことは、美容医療や整形に興味があり、受けようかと思案中の人にとっては、リスクの可能性を把握し、その回避策を高じる材料となるだろう。

全世界の美容医療の治療数は年間2000万件

 このような悪しき事例が多く報告されるということは、日本に美容医療や美容整形が広く認知されて行われている裏返しだ。では、世界的に美容医療の症例数が多い国はどこだろうか。

 美容形成外科の国際学会である「ISAPS(International Society of Aesthetic Plastic Surgery)」の公表統計によれば、症例数1位は「アメリカ」、2位が「ブラジル」。そして3位にランクインしたのは、なんと「日本」である。美容先進国といわれる「韓国」は次点の4位。

 また、全世界の治療数は年間2000万件(外科治療:非外科治療=48:52)に上る。ちなみに、世界一が推測される中国のデータがISAPSの統計に含まれていないのは、中国の情報集計システムが成熟していないためだ。

「日本の治療総数は126万件(外科治療26%:非外科治療:64%)で、韓国と同じく、ヒアルロン酸の注入やボトックス注射、レーザー治療などの非外科治療が多い点が特徴。傾向として、いわゆる若返り、アンチエイジング目的の治療が増えています」

 そう語るのは、日本美容外科学会 (JSAS)会長で、医療法人社団美翔会・聖心美容クリニック(東京都港区)統括院長の鎌倉達郎医師。近年は「内面磨きは当然ながら、見た目も大事にするという考え方が浸透し、美容医療に対するハードルは確実に低くなっています」と言う。

業界のリーディングクリニックが悪徳業者への対処法を伝授

 美容医療へのハードルが下がる一方で、施術の質向上や利用者の満足度アップは、業界全体の信頼性を担保するものとなる。そこで、聖心美容クリニックは、「正しい美容医療クリニック選び」の啓蒙活動の一環としてウェブサイト「Dr.Beast」を公開した。

 オリジナルムービーは「#RealUgly 本当の醜さにメスを。」と題され、世の中に実在する悪徳美容クリニックを擬人化し、その手口を醜悪極まるDr.Beastの姿態に象徴させて警告と対処法を呼び掛けている。

 冒頭紹介の実被害例につながる悪徳美容整形クリニックの「醜い手口」とは、いかなるものか。Dr.Beastの割けた舌は「嘘を言う二枚舌」、飛び出た目玉は「患者を品定め」して「足元ばかりを見ている」姿勢を物語り、閉じた耳は「不都合な話になる」と耳を貸さず、甘い言葉で人を惑わす大きな口は「信憑性のない発言」を繰り出すビッグマウス……という具合。美容医療における悪徳商法の実情を、モンスター化して表現した。

 動画制作の背景には、「私たちは、絶対に醜くなるな」という美容医療界のリーディングクリニックとしての自負と自戒が込められている。サイトにはもちろん、悪徳業者への具体的な対処法も伝授している。クリニック選びの参考ガイドとしても一度閲覧してみる価値は大いにある。
(文=ヘルスプレス編集部)

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