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時代の寵児だったパルコ、閉店ラッシュ…ファッションビルは“過去の遺物”なのか?

文・取材=A4studio
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 実際、1986年にオープンした熊本パルコは建物の老朽化と、それに伴う来客者数の減少が閉店の理由とされている。現在パルコが入居している建物の取り壊し後には、現建物所有者が複合ビルの建設を、パルコも新業態の商業施設への出店を検討しているようだ。

「取り壊しではなく今ある建物に耐震対策を施すとしても、それはそれで多額の資金が必要となります。そして、耐震対策が十分になったとしても、それでビルのイメージがフレッシュになることはない。ですから、今までの形態で経営を続けていても赤字が長引くだけなので、ここで一回、線を引くということでしょう。ビルを取り壊して建て直すのは巨額の投資が必要となりますが、街の状況に合わせた複合的な施設にリニューアルすれば、文字通り生まれ変わることもできるため、そういった施策に打って出るのも納得できることです。

 これまでパルコは、街ごとに、そのときの客のニーズに合わせて商業施設をつくり変えてきました。一旦閉店させても、例えばテナントとの契約の形態を新しいものに変えたり、アミューズメント面を強化したり、コワーキングスペースを導入したりといった、新たな施策を打ってくるのではないでしょうか。パルコ側はきっと、テナントの構成が“今風”になるように考えていると思います」(同)

実店舗で生まれるブランドと顧客との結びつきの強さ

 ユニクロやH&Mなどのファストファッションブランドの浸透や、ネットショッピングの隆盛の影響も、今回のパルコ閉店と無関係だとはいえないだろう。しかし黒川氏いわく、そんな風潮のなかであっても、ファッションビルには、実店舗ならではの強みがあるという。

「例えばスプリングコートが欲しいとなったときに、ネットショッピングであればすぐにデザインや値段などの比較ができ、そのまま購入できます。また、ファストファッションブランドで手頃な価格で入手し、ワンシーズンだけ着て終わりにするという人もいるでしょう。

 このように客の選択肢は広がってきているわけですが、現在ではまだ、店舗で販売されているアイテムのほうがネットショッピングよりも圧倒的に多いのです。もちろん、ネットで検索して新しいブランドに出会うこともありますが、ふらっと立ち寄った店舗でこんなブランドがあるんだと知ったり、店員からオススメ商品のアピールを受けたりと、顧客とブランドの直接的な結びつきは、今も昔も実店舗でこそ生まれるものです。

 ブランド側からしても、有力店は別として、路面店でゼロから営業すると集客から何まで全部自分たちで担わなくてはいけないため、非常にリスクと労力がかかります。そういう意味でも、自分たちのターゲットになりそうな客を集めてくれるファッションビルへの出店は、ブランド側にとって、いまだに利点が大きいといえます」(同)

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