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マツキヨvsスギ、ココカラ争奪戦…ドラッグストア大手、生き残りかけ容赦なき再編勃発

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

再編が急加速する引き金になる可能性

 調剤の強化も期待できる。高齢化などを背景に、医師の処方箋に基づいて薬剤師が調剤して処方する処方薬の需要が増えており、調剤併設店のドラッグストアが拡大している。スギHDも調剤を強化しており、調剤を実施する店舗は7割にも達している。ココカラも調剤を強化しており、調剤併設店を増やしているほか、18年にはドラッグストア大手で初めて、薬剤師がテレビ電話で薬を説明する「遠隔服薬指導」を開始している。連合体が誕生した後にそれぞれの企業がノウハウを持ち寄ることで、調剤を強化できるだろう。

 出店エリアの重複が少ないことも大きい。ココカラは関東と関西の駅前や商店街を中心に出店を重ねてきた。一方、スギHDは中部を中心に郊外型の店舗が多く、同エリアが手薄なココカラとはエリア補完性が高い。他方、マツキヨHDは関東の駅前を中心に出店しており、ココカラとは関東では重複するところもあるが、関西では重複は少なく、こちらもエリアの補完性が高いといえる。

 マツキヨHDとココカラについては、仮に経営統合するとして、関東で重複する店舗に関しては不採算店を閉鎖することで残る店舗の収益性を高めることができる。関東ではドラッグストアは飽和感が強く、経営統合を機に戦略的に店舗閉鎖できる意義は小さくはないだろう。

 このように3社はそれぞれ補完性が高く、連合体を組むメリットは大きい。連合体を組むことで規模を拡大して競争力を高め、ウエルシアHDなど上位企業に対抗したい考えだ。

 もっとも、3社の競合は同業だけではない。コンビニエンスストアが最大の異業種ライバルとなるだろう。ドラッグストアの多くは食品や日用品を安値で販売することでコンビニから顧客を奪っている。利益率の高い医薬品や化粧品を販売して利益を確保し、それを原資に食品や日用品の価格を下げ、それを呼び水に集客を図ってコンビニに対抗しているのだ。

 こうした武器を生かしてドラッグストアはコンビニに抵抗してきたが、ドラッグストアは大手でも店舗数は多くて2000店程度にしかならず、最大のコンビニチェーン「セブン-イレブン」の2万店超と比べると桁がひとつ少ない。十分に対抗できるほどの体力があるとはいえないだろう。そのため、ドラッグストア大手といえども規模の拡大は避けて通れない。

 近年のドラッグストア業界におけるM&Aは、大手が中小を飲み込むかたちのものがほとんどだった。しかし、今回の3社の動きは大手と大手が結合するというまれなもので、業界内外で関心が集まっている。

 これを機に大手同士の再編が進む可能性もあり、目が離せない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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