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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

海外で「高級ブランド」無印良品が圧倒的人気を得ている現象について

文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer
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 無印良品の海外展開に関して見てみると、2017年には海外店舗数が国内を上回り、19年2月末時点で海外497店、国内420店となっている。とりわけ、中国256店をはじめ、東アジア全体で358店となっている。東南アジアに注目すると、タイ17店、シンガポール11店、マレーシア7店、インドネシア7店、フィリピン5店だ。

 日本では飽和状態に近いかもしれないが、こうした数字は、欧米や東南アジアを中心に海外には広大な未開の市場があることを教えてくれる。

 現在5店舗という数字からもわかる通り、無印良品がフィリピンにおいて広く社会に浸透しているとは言いがたい状況である。しかしながら、たとえば、筆者が在籍する大学において、学生たちが無印良品の筆箱やノートを持ち、衣服を着ているのをよく見かける。フィリピンをはじめ、東南アジア諸国ではカラフル、ビビットなものが好まれるといったイメージを持っている人もいるかもしれないが、無印良品の色合い、デザインは非常に高く評価されている。さらに驚いたことには、シンプルな美しさに代表されるコンセプトをよく理解し、強く共感している。ただ、本学の学生は富裕層の子弟が中心であり、筆者が出席した今回のプレセールにおいても富裕層に属する割合が多いように思われた。

 しかし、現段階において、無印良品は一般大衆には広く普及していない。その主たる要因として、価格の問題を挙げることができるだろう。商品により異なるものの、価格はおおよそ日本の1.5倍程度となっている。結果、庶民の月給が2万円程度のフィリピンにおいて、無印良品は高級品となってしまう。講義において、無印良品に関して学生たちと議論することがあり、「フィリピンで売り上げを拡大させたければ、価格を下げなければならない」といった意見が多くの学生からあがった。みなさんはどのように考えられるだろうか。

 1~2割程度の値下げなら、輸送の効率化などの企業努力により実現可能かもしれない。しかしながら、その程度の値下げでは「焼け石に水」であり、依然として庶民にとっては高すぎる。半額くらいまで下げられるなら、購買可能な層は拡大するであろうが、そこまでの値下げを実現するためには、商品の質を低下さなければならなくなるだろう。そうなると、無印良品の強みは消え、地元の企業や中国、韓国から進出している企業との飽くなき価格競争に突入してしまうのではないだろうか。

 フィリピンをはじめとする新興国市場において無印良品が目指すべきは、低価格化による急激な売り上げ拡大ではなく、まずは富裕層から高いロイヤリティを獲得することに専念し、強いブランドイメージを確立させることだ。その後、経済成長に伴う所得の向上により、低価格ではないものの、商品力やブランド力により、多くの庶民が購入するようになるといった長期的な視点が極めて重要になるだろう。
(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

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