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ふるさと納税、自治体に返礼品競争を強いて疲弊させる安倍政権の愚行…今度は一律規制

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 Amazonギフト券のような返礼品を用意した自治体は、以前にもあった。たとえば15年には石川県加賀市が地元企業であるDMM.comとタッグを組み、ふるさと納税の返礼品としてDMMマネーを贈ることを発表した。これは換金性が高い返礼品だったことから、総務省から注意を受け、加賀市はすぐに別の返礼品に変更した。

 その後もめぼしい地場産品がない自治体は高級家電や海外からの輸入品を返礼品として用意しているが、こうした自治体の多くは、都市圏のベッドタウンに多く見られる。ベッドタウンでは特に主だった産業があるわけではなく、また町の歴史が浅いために農産品や工業製品がブランド化していない。地場産品で勝負しても勝ち目がないのだ。

 また、ブランド化している牛肉や海産物を返礼品に揃えても、あまり効果がないとこぼす自治体職員もいる。ある地方都市で、ふるさと納税を担当する自治体職員は言う。

「ふるさと納税で地場産品を贈る理由は、そのおいしさを知ってもらい、リピーター客になってもらうことです。リピーター客が繰り返し買ってくれるようになれば、過疎化した町でも産業振興の起爆剤になり、経済的にも活性化します。これが、ふるさと納税の基本戦略であり、理念です。しかし、どんなに味がいい肉や魚を返礼品に贈っても、『じゃあ、今度は金を出して買おう』と言ってくれるリピーターは一握りしかいません。多くの人たちは、ふるさと納税を応援したい町に寄付する制度としてとらえているのではなく、あくまでもお得なショッピング。もっといってしまえば、財テク感覚なのです。だから、もっとお得な返礼品があれば、そちらに納税してしまう。地場産品を用意しても、町をPRする効果はありません」

 こうした状況では、現場の職員がいくら知恵を絞っても、徒労感しか残らない。「返礼品として地場産品を贈って、わが町を知ってもらおうと考えていたが、馬鹿らしくなる」と口にする職員も少なくない。そのため、泉佐野市に同情的な声もあがる。

「地場産品でふるさと納税を集めるのは大変な作業です。それなのに、地元住民からは『わが町は、ふるさと納税を集められてないじゃないか』『もっと豪華な返礼品を用意しろ』というお叱りが寄せられるのです。大きな声では言えませんが、泉佐野市のようにAmazonギフト券を用意するほうが効率的にふるさと納税を集められると考える自治体が出てくるのは自然な成り行きです」(地方都市のふるさと納税担当者)

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