木下隆之「クルマ激辛定食」

1機5億円?トヨタ「レクサス」高級クルーザー開発…ベッドルーム4つのスイートルーム級?

レクサスLY650

 日本のマシン史上最高級のスポーツクルーザーの開発が進んでいるという情報を得た。2017年1月の米国マイアミ「ボートショー」で、レクサスが開発のスタートを宣言した「レクサスLY650」は、その後の開発の進展が明らかにされておらず、プロジェクトの中止や頓挫が陰で囁かれていた。だが、開発はたしかに進んでいる、という情報が明らかになったので報告しよう。

「レクサスLY650」の最大の特徴は、65フィートの巨大な体躯と高級感にある。65フィートとは、プレジャーボート(クルージングを楽しむためのレジャーボート)の国内最大級である。他の追随を許さない。販売価格は公表されていないが、3億8000万円から5億円と予想する。

 それにしても、65フィートとは、いくら高級ブランドのレクサスだからと言っても腰を抜かしかける。トヨタマリンがかつて発売していた、最大サイズの「ポーナム45」でさえ45フィートだった。価格は約7000万円。それすらも国内には市場がなく、販売を中止した。

 ヤマハマリンやヤンマーといったプレジャーボート大手でさえ、65フィート級のプレジャーボートを国内販売した実績はない。周辺を海の囲まれている島国日本でありながら、高級クルーザーのジャンルはなかなか育たず、ごく一握りの富裕層の贅沢な道楽にすぎない。それでも最大級が45フィートサイズなのである。

 そんな日本で、なぜレクサスは65フィートもの高級スポーツクルーザーを開発しているのだろうか。

 ひとつは、アメリカ市場を照準に当てていることが挙げられる。生産拠点は米国マイアミ。超高級リゾートに集うミリオン富裕層がターゲットだ。

東京五輪で海上輸送にクルーザーを利用か

レクサスLY650

 そしてもうひとつのヒントは、2020年開催の東京五輪にある。

 東京五輪のメイン会場は、東京都埋立地の台場・豊洲地区にある。周囲が海の囲まれている。運河のような「海の道」が碁盤の目のように走る。まさにクルーザーが運行するのにふさわしいウォーターフロントだ。

 しかも、空の玄関口・羽田空港からも程近い。海外からの要人が羽田空港に降り立った後、東京湾をクルーズしながら台場・豊洲地区まで運行すれば都合がいい。

 ときに東京周辺の道路は、たび重なる交通規制や、世界から押し寄せる観光客により慢性的な渋滞が予想される。回避するには、空か海だ。海上のキャパシティは余裕がある。

 さらにいえば、自家用機で飛んでくるVIPも少なくないはずで、ならば海上輸送に適した豪華クルーザーが不可欠。トヨタは五輪オフィシャルスポンサーとして2000億円の協賛契約を結んでいる。世界の要人をエスコートする必要もあるだろう。そのためにも、世界クラスの高級クルーザーが必要だったのである。

「レクサスLY650」のエンジンは、ボルボペンタを2基搭載する。公式発表ではないが、ベッドルームは4つ、トイレ付きのバスルームは3つ。「浮かぶスイートルーム」と呼ぶにふさわしいサイズと質だ。

 世界が注目する五輪によって“レクサスのマリン”をアピールする。こんな絶好の機会を逃す手はない。目的のひとつはそれだろう。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員
「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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