ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~ポスト五輪を待ち受ける23区の勝ち目、弱り目

東京・下町、人口流入&地価上昇が鮮明…都心へのアクセスと生活のコスパに優れる“一挙両得”


 港区は6位(2018年は5位、以下同)と高位置にあるものの、中央区は13位(23位)、千代田区は最低の23位(18位)。都心の地価はすでに高止まりの状態にある。西部山の手は杉並区が17位(19位)、世田谷区と目黒区がともに18位(2018年は世田谷13位、目黒15位)で、いずれも23区の下位グループに甘んじる。

 トップは荒川区。フロックではない。2年連続のトップだ。2位は台東区(7位)、3位は北区(2位)。ほかにも、下町各区の地価は確実に上昇基調にある(図表3参照)。

 バブル経済の時代に期待値だけで値上がりした地価は、その後の急落を経て、需要と供給のバランスが反映されるようになった。荒川区をはじめ、下町各区で地価が上昇しているのは、需要が高まっているからにほかならない。

下町ルネッサンスが花開くとき

 だが、人口が増え、地価が上がったからといって、それだけで「下町の再興」とはならない。まだ、大きなヤマが残っている。冒頭でも指摘したように、下町は下町生活の実践こそに、その存在意義があるからだ。

 マンションの郵便受けにネームプレートを表示しないのは当たり前。一戸建てでも表札を出さない人が増えてきた。宅配業者泣かせか、プライバシーの確保か。議論は尽きないが、お隣に誰が住んでいるかわからないようでは地域のつながりなど生まれようもない。根掘り葉掘りは言語道断だとしても、ご近所のことをおおむねわかり合っているからこそ、助け合い、支え合う関係が生まれてくる。

 下町地区で人口が増えたといっても、人々が「家」という箱の中に存在するだけなら、どこに住もうと変わりはない。行政もこれを十分に理解しており、新住民が下町コミュニティに無理なく溶け込んでいけるよう、あの手この手を尽くしている。基本は、下町地区の最大の弱点である防災上の課題を逆手に取ること。危険度が高いからこそ、地域の助け合いが重要性を増す。

 下町ルネッサンス。それは、人が人とまちとの関係を再認識できたとき、初めて花開く。まちウォッチャーとしては、尽きぬ興味を抱きつつ、もうしばらく事態を見守っていくことにしたい。

(文=池田利道/東京23区研究所所長)

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