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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

牛乳は“体に有害or良い”論争めぐり研究報告…高齢者、飲まないと死亡リスク上昇

文=熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事
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牛乳をやめると健康リスク上昇

 さてここからが本題だ。牛乳を2日に1回以上飲むグループが、週に1、2回以下へと牛乳を飲まない方向へ健康習慣を消失させてしまうとどうなるか。

 牛乳飲用習慣の変化を4年間追跡して確認し、その後7年間死亡リスクを比較してみた。すると4年間、2日に1回以上飲み続けたグループに対して、その間に週に1、2回以下に減らしてしまったグループは、その後7年間の死亡リスクが2.3倍に跳ね上がってしまっていた。

 牛乳を飲まなくしてしまった理由は、さまざまあるだろう。いずれにせよ、身に付け慣れ親しんだ健康習慣を手放すリスクは、健康習慣そのものの優位性を帳消しにするどころか、逆に健康リスクを高めてしまうことになること示している。牛乳を飲まない方は飲む方に比べ健康リスクは高いことは明らかで、飲む習慣のある方は決してやめるべきではない。種々の健康情報に感化されやすい方はご注意ください。

ビタミンB12の大切な供給源

 牛乳はわれわれの健康の“知”や“情”に効用があるのが特徴だ。老化に伴い体内で増え続けるホモシスチンは、認知機能を低下させる。ホモシスチンの排泄にはビタミンB12が欠かせない。実は牛乳がビタミンB12の大切な供給源であることを忘れてはならない。

 また乳清(ヨーグルトの上澄み)にはトリプトファンというセロトニンの原料となるアミノ酸が多く含まれている。セロトニンは情動を安定させ安寧をもたらす。メラトニンという導眠物質もセロトニンから誘導される。気が高ぶった日は寝る前にホットミルクを飲むというのは、理に適った習慣だ。老化を遅らせるには牛乳が欠かせない。牛乳はやっぱり体にいい。
(文=熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事)

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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