東京都「バリアフリー条例改正案」、多くの車椅子使用者が利用できないことが判明


 実は、この「ピュアルーム」は、日本では2013年にヒルトン大阪に導入されている。アレルギー疾患を持った宿泊客や乳幼児、受験シーズンに風邪をひきたくない学生などに一定の評価はあったようだが、通常の部屋よりもわずかに料金が高いためか数年で姿を消している。あるいは導入が早すぎたのか、日本人のアレルギー対策の意識が低すぎたということもいえるかもしれない。

 アジアではすでにアンバサダーホテル台北、グランドハイアット・ソウル、グランドヒルトン・ソウル、ヒルトン北京などですでに導入されているが、国内のヒルトンホテルでは、現時点でそうしたアレルギーフリーの部屋はないという。マリオットホテルの予約サイトでも日本ではピュアルームが見当たらない。世界的なホテルチェーンが海外で続々とピュアルームを導入しているのに、日本法人だけが取り残されているのはなんとも不思議だ。

慢性の呼吸器疾患を持つ宿泊客にとっても空気清浄は重要

 もともとこのピュアルームの中核をなすDFSシステムは、今後起きるであろう細菌戦争に備え、米政府の軍事補助金で開発された技術だという。FDAの「クラス2分類医療機器」に認定されているのも、そのスペックの高さゆえだろう。

 一般的な空気清浄機の上位機種に採用されている基本技術は、HEPAフィルターという高性能フィルターだが、このDFSシステムはHEPAフィルターの約40倍の効率で空間を清浄化するという。大手ホテルチェーングループのみならず、アメリカでもっとも評価の高いメーヨー・クリニックやクリーブランド・クリニックにも導入されているというが、その殺菌能力の高さからだろう。

 ちなみに、DFSシステムを搭載した空間除菌清浄機「mediAir」が最近、日本でも発売されたという。

 部屋の空気の正常化の効果は何もアレルギー疾患のためだけではない。COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、肺気腫、慢性気管支炎などの慢性の呼吸器疾患がある人にとって、あらゆる浮遊物質が喘息発作を誘発する可能性がある。症状を急激に悪化させる風邪に十分な注意をする必要もあるのだ。ホテルの室内は非常に乾燥しているため、ウイルスに感染しやすい環境になりがちでもある。

 政府は東京オリンピック・パラリンピック開催の20年に訪日観光客4000万人の目標を掲げている。アレルギーの問題を抱えている人も少なくはない。なんとか入り口にたどり着いた食品アレルギー対策と同時に、ほかのアレルギー疾患への対策も喫緊の課題だ。
(文=編集部)

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