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“国策”MRJ、新規受注ゼロで事業存続の危機…成功したホンダジェットと真逆の発想

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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三菱重工の自前主義からの脱却

 
 MRJの成否は、三菱重工が自前主義の発想を変えられるか否かにかかっているかもしれない。 三菱重工は航空機メーカーへの飛躍を目指している。同社の経営陣が事実を冷静に認識し、ビジネスモデルの転換に必要な資源(ヒト、資材・パーツ、テクノロジー)を世界から集め、機体の設計や開発に使っていくことを考えればよい。

 三菱重工がカナダのボンバルディア社のリージョナルジェット機事業の買収交渉を進めていることは重要だ。突き詰めて言えば、日本にはまだリージョナルジェット機を自前で生産し、整備を行うノウハウがない。ないものは、調達するしかない。
 
 同時に、三菱重工は海外の専門家を登用するなどして、組織の外の経営資源を上手く使うことを考えるべきだ。その上で同社は、MRJの納入と新型機種の開発が着実に進行していることを、株主などの関係者に明確に示すべきだ。

 度重なる納入延期を受けて、一部の顧客はMRJの購入をキャンセルした。過去3年間、三菱重工はMRJの新規受注を獲得できていない。一方、ブラジルのエンブラエル社は米ボーイングの傘下に入り、リージョナルジェットの販売力を引き上げている。競争が激化するなかで納入がさらに遅れると、三菱重工のプロジェクト・マネジメント力だけでなく、経営管理体制が問われかねない。

 三菱重工が過去の反省をもとにして実用に耐えうる機体を開発できれば、日本の産業にも大きな効果が期待できる。何よりも、新しいことにチャレンジし、それを実現する人々の姿は、多くの企業に刺激を与える。それは、イノベーションの発揮を目指す企業が増え、日本経済のダイナミズム向上につながるだろう。そのためにも、三菱重工が限られた時間を有効に使い、MRJの納入を実現することを期待したい。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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