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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

アマゾン、数千基の人工衛星打ち上げ…衛星インターネットを世界中に提供、宇宙ゴミ問題も

文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部
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 当初、これらの人工衛星群は観測不可能であろうとされていましたが、実際に打ち上げられると世界各地の天文学者から観測の報告が出され、スターリンクの衛星群が地上からの天体観測に影響を及ぼす可能性が露呈しました。スターリンク衛星の明るさは5等級の星に匹敵します。肉眼では空が十分に暗くなければ見えませんが、宇宙の彼方のかすかな星の光を観測しようとする高感度の天体望遠鏡にとっては大敵です。

 ブロードバンドを世界規模で提供するサービスは私たちの日常の利便性を高め、世界中のあらゆる場所に通信回線を提供することによって、インターネット後進地域の解消や大規模災害支援、海洋・山岳遭難時の緊急対応など、多くのメリットがあります。一方で、美しい夜空を守る責任も私たちには課せられています。衛星は太陽熱から機器を守るために反射材で覆われていますし、太陽光電池パネルも太陽光を反射するため、夜空を明るくしてしまう可能性があります。

 光を反射しない断熱材や限りなく黒い材料による衛星の製造、逆に反射材を省略し高温になっても安定作動する半導体の開発など、日本の素材技術を生かすことが求められているのではないでしょうか。今まさに発生しつつある光害問題に対処できる力が、日本の素材産業にはあると考えられます。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)

【参考資料】
スターリンク」(スペースX)

全ての光を吸収する究極の暗黒シート」(産業技術総合研究所)

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『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』 地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。 amazon_associate_logo.jpg

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