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江川紹子の「事件ウオッチ」第130回

【実刑確定の男が一時逃走】原因は保釈を認めた裁判所!? 蔓延する暴論が「人質司法」を強化させる

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 また、覚せい剤を含めた薬物の自己使用犯罪で、初犯など執行猶予判決が見込める被告人で、更生意欲がある場合に、裁判が終わるまで拘置所に身柄拘束するより、再犯することがないよう、早期に医療機関で治療を開始することは、本人のためだけでなく社会にとっても有益だ。

 カナダで逮捕されたHUAWEIの最高財務責任者が保釈される際、GPS機能付きのタグを装着することを義務付けられたように、日本でも、保釈がより広範に認められるよう、保釈金に加えて、こうした最新機器の活用を考える議論はあっていいと思う。

 ただ、今回の事件の再発防止策は、まずは公正な検証を行い、それに基づいて保釈中、在宅起訴を問わず、身柄拘束をされていない被告人の実刑が確定した際、いかに逃走を防ぎ、収監を確実にするかを、しっかり議論すべきだ。

 メディアは問題点をきちんと整理して報じ、くれぐれも時間を巻き戻して人質司法を強化する方向に世論を誘導することがあってはならない。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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