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日本企業は、米中貿易戦争の影響を楽観視しすぎている…村田製作所の株価下落は危険なサイン

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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米中貿易戦争の先行きに楽観は禁物

 
 今後、村田製作所は一段と厳しい状況に直面する恐れがある。特に、米国がファーウェイへの輸出を禁じたことのマグニチュードは見逃せない。これは、トランプ政権が中国の5G実用化の中核企業であるファーウェイへの供給網を絶ち、中国の覇権強化を食い止めようとしていることにほかならない。すでにファーウェイは欧州やアジアの企業とビジネス契約を結んでいる。米国の制裁は世界経済に無視できない影響を与える恐れがある。

 制裁が発動されれば、米国の半導体メーカーなどの業績には下押し圧力がかかるだろう。中国は半導体などの国内生産能力を高めてきたが、依然として米国の製品を抜きにはできない。ファーウェイを中心に、中国企業の業績も悪化するだろう。

 今後、中国は米国に報復するだろう。その結果、先行き不透明感が高まり、米国の景気が一段と減速する恐れがある。足許の世界経済は米国の景気が緩やかな回復を維持していることに支えられている。トランプ政権の対中強硬姿勢は、世界経済を揺るがしかねない。

 その際、村田製作所が他の通信機器メーカーの需要を取り込んで成長を続けることは難しい。19年度、同社は前年度を上回る設備投資を計画している。状況によっては、成長を重視した設備投資計画を見直し、守りを固めつつ新しいテクノロジーの開発を進める発想が必要になるかもしれない。

 村田製作所が5G通信の需要、さらには生産現場などに加え家庭でのIoT需要を取り込んで成長を続けると考えるのは、あまりに楽観的過ぎる。世界的に見ても、株式市場にはこうした楽観が多い。これまで環境の変化にうまく適応してきた同社が、米中の覇権国争いという不確実性にどう対応するかは、わが国経済の先行きを考える上でも重要だ。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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