鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

外国人“患者”急増で病院混乱…話が通じず治療できない、保険利かず高額医療費トラブル

宗教上の問題も

 医療費の支払いでも問題は多い。日本の健康保険制度に加入していない場合には、医療費は「全額自費」となるが、診察料、治療薬代などは国によって違う。そもそも、北欧など高福祉国では、医療費が全額無料となっている国もあれば、米国のように医療費は基本的に自己負担だが、民間保険で補完している国もある。このため、実際にかかった医療費の支払いの際に、外国人患者とトラブルになるケースも多い。

 たとえば、日本人が海外旅行に行って、「虫歯の治療に数十万円かかった」とか、「盲腸の手術で100万円以上かかった」といった話も聞かれるが、国内で外国人患者が治療を受ければ、同様に数百万円の医療費が必要になるケースもある。こうした高額な医療費を国内に居住していない訪日外国人観光客から確実に徴収することは大きな課題だ。

 その上、もし彼らが重篤な病状であり、入院治療が必要となった場合には、入院に際しての多言語での案内書から始まり、入院の仕方や入院時のルール、あるいは入院期間中における検査や治療面でのコミュニケーションの問題から病院内での外国人向けの案内板の設置など、多種多様な対応が必要となる。

 それだけではない。国内にも宗教上の理由から輸血を拒否する人たちがいるが、訪日外国人観光客が患者となった場合には、宗教上などさまざまな理由から治療に支障をきたすケースも考えられる。

 たとえば、イスラム教徒に対しては、外食産業では「ハラルフード」と言われるように、彼らが許されていない豚とアルコールを使わない食事を出す店も増えてきている。医薬品の中には豚の成分が含まれたものもあり、あるいはアルコールが含まれたものも治療に使えないことが考えられる。また、イスラム教では異性に肌をさらすこと(特に女性は)は避けなければならないため、検査や診察、治療などが行えないというケースもある。こうした宗教上の問題などにも対処できるようにしておく必要があろう。

 若干、横道にそれるが、薬局も外国人観光客への対応が必要になるだろう。医師の処方箋がなくても買える市販薬は、各国ごとにその基準が違い、彼らが国内の薬局で購入しようとしても買えないケースが出てくる。こうした場合に、その代替薬となるような市販薬を用意しておくなどの対応が必要だ。

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