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スズキ、不正蔓延の企業体質…社内最大のタブー「鈴木修会長の引責辞任」論も

文=編集部
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過去最大の1億9650万円の過料か

 スズキは湖西工場(静岡県湖西市)など県内3工場での出荷前の完成検査で、不合格なブレーキなどを「合格」としたほか、無資格の従業員が有資格者の判子を使うなどしていた不正が判明。4月19日から国内過去最大規模の201万台のリコールを国土交通省に届け出た。

 国交省は6月7日、完成車検査で国の基準を逸脱した試験をしていたスズキに対し、意識改革や組織風土の改善を求める勧告書を交付。不正が長年放置されていたとして当分の間、重点的な監視対象とすることを通告した。自動車の“心臓部”であるブレーキで検査の不正が行われていたことを重視した。

 道路運送車両法違反による過料の適用も静岡地裁に通知した。金額は裁判所が決めるが、過去最大の1億9650万円になる可能性がある。

 過料は行政罰の一種で、1台当たり30万円以下と定められている。今回は、特に重大な違反が確認された650台を対象とした。過料の適用を求めた台数では過去最大という。これまでのケースでは、18年12月に過料適用が申請された日産自動車の454台が最大・最悪だった。

 国交省は立ち入り検査などの結果も公表した。日産自動車とSUBARUで検査不正が発覚した際、スズキでは完成車検査のチェックシートに不在の検査員の押印があったと、工場の管理職から本社の製造本部長に報告されていた。しかし、重要性を認識せず、経営陣への報告や現場への改善指示を怠っていたと指摘した。こうした姿勢が、現場による不正の隠蔽を招いたと結論づけた。

 石井啓一国交相は鈴木俊宏社長に勧告書を手渡し「コンプライアンス(法令順守)意識の低さ、自浄能力の欠如、不正事案が報告されない不健全な組織風土の結果だ」と批判した。俊宏社長は「重く、厳粛に受け止める」と述べた。

 スズキは5月28日、無資格者による完成車検査問題に伴う経営陣および関係者の処分を発表した。

 修会長と俊宏社長ら代表取締役と取締役は18年度の賞与を辞退する。7月分以降の報酬額は会長が1年間無報酬、社長は半年間半減とするほか、副会長や取締役、生産担当執行役員などもそれぞれ3~6カ月間、10~40%減額する。生産本部長を務めていた松浦浩明取締役が今回の定時株主総会で退任したほか、不正に関与した管理職を処分した。

 17年に完成車不正が発覚したSUBARUでは、18年6月に代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)に就任する予定だった吉永泰之前社長が代表権とCEO職を返上した。

 スズキの修会長と俊宏社長は、役員報酬を返上するものの現職にとどまる。SUBARUと比べて大甘な処分だ。

 創業家出身の鈴木親子を引責辞任させることは、スズキ社内の最大のタブーとされてきたが、今回の株主総会でこれが覆ったことになりはしないか。

BusinessJournal編集部

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