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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

ボーイング最新航空機、なぜ鳥の衝突や一部品の故障で墜落事故が多発しているのか?

文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員
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飛行展示中のボーイング737MAX(「Wikipedia」より/Ariadacapo)

 

 2018年秋から今年春にかけてボーイング社製造の737-8(通称737MAX8)が2度の墜落事故を起こしました。まずは遭難された346人の乗客、乗員の皆さんのご冥福をお祈りします。4月現在、737MAXは運航停止状態にあり、ボーイング社も長引く出荷停止から生産機数を調整しています。報道もそろそろ一段落し、事態は収束に向かっているようです。本稿ではこれまでの情報をもとに、事故の経過を振り返り、この事故とはなんだったのか、その問題の本質と背景、日本のメーカーに与える影響などを考えてみたいと思います。

事故の経過

 今回の737MAXの一連の事故については、いずれもまだ最終報告は出ていませんが、ボーイング社のトップはすでに設計上の瑕疵があったことを認めています。事故調査の中間報告によれば、2件の事故ともに直接的な墜落原因は、機体が巡航高度を目指して上昇飛行中に機首下げの姿勢となり、その姿勢を修正できないまま地上に突っ込んだという単純なものだったようです。

 一般に地上への墜落事故は推力不足で低速飛行中に、十分な揚力を得ようと迎え角を大きくとりすぎ、機首上げ姿勢で失速し墜落するというのがよくあるケースですが、今回はこれとは正反対のことが起こったようです。

 機首下げ姿勢のまま墜落した理由は、自動操縦により水平尾翼が作動し、それがピッチモーメント(飛行機が縦に首を振る回転力)を生んだが、パイロットの操縦がそれを阻止できなかったということのようです。この自動操縦は737MAXで新たに装備されたMCAS(Maneuvering Characteristics Augmentation System:操縦特性補正システム)により作動しました。このシステムを構成する失速警報装置のセンサー(AOA センサー: Angle of Attack Sensor:迎え角センサー)1個が故障したというのが、大元の原因だったようです。

 インドネシアのライオン航空機墜落事故では、故障は以前のフライトで起こったようですが、新たに取り付けた部品が正しく機能しませんでした。またエチオピア航空機の事故では、飛行中に鳥が機体に衝突しセンサーが取れてしまったことが原因とのことで、2つの事故の原因は異なるようです。

外部には理解不能なMCAS

 これまで世界中の多くの技術者が、ボーイングのデザインした飛行機から技術を学んできました。筆者も多くを学びましたが、そのボーイングがこのMCASシステムをデザインしたと考えると、僭越ながら、どうも「弘法も筆の誤り」だったのではないかと考えています。

 筆者が抱く「疑問」はまず第一に、水平尾翼を使ってピッチコントロールをしていることです。設計者はMCASの作動機構として、なぜ通常は機首上げ下げのコントロールに使われる昇降舵ではなく、水平尾翼を使うことにしたのでしょうか。

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