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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

GDPによる景気判断が困難に…実態と乖離で、他の景気指標と逆の動き

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
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 以上の理由から、GDP統計で示される経済成長率と景気動向には大きなギャップがある。実際、1-3月期の実質GDPは2次速報段階で年率+2.2%成長となっているが、輸入と在庫変動を除去すると、年率▲1.2%と大幅マイナス成長に転じる。つまり、輸入と在庫変動を除いたほうが他の景気指標と連動性が高まることになる。

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「コアGDP」公表の検討を

 こうしたギャップを解消するには、統計を利用する側と作成する側の双方が理解を深める必要があろう。具体的には、GDP統計を景気判断のより所とする政策当局や企業経営者の意識を変える必要があるだろう。GDP統計は国内需要の悪化局面でむしろ押し上げ要因となってしまう輸入や民間在庫を含んでおり、我が国の景気を判断するには問題がある。こうした点を理解している市場参加者の間では、日銀短観や鉱工業生産などの指標を景気判断として重視する向きもある。

 しかし、GDP統計は国際的に見て最も標準的な統計であるため、作成側としてもこうしたギャップを解消する努力が必要だろう。例えば、機械受注統計では設備投資の先行指標としてかく乱要因となる船舶や電力を除く民需を公表しているように、GDP統計のうちの輸入と在庫変動を除いて、より世の中の景気実感に近い「コアGDP」を作成・公表するといった工夫を検討すべきであろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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