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高齢者、健康の後悔1位は「歯」…歯周病で全身の内臓疾患、命を脅かす、物も食べられず

文=林美保子/フリーライター
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 歯周病と全身疾患の関係が判明したのは1990年代。当時の米国では若いシングルマザーに早産、低体重児の症例が多かった。喫煙が原因ではないかと調べたところ、胎盤から歯周病菌がわんさか出てきて、陣痛を促進していたことがわかった。それがきっかけとなって歯周病菌の研究が進んでいった。

 このような歯周病菌から身を守るには、やはり徹底した歯磨きしかない。「大切なのは、正しい歯磨きをすることです」と、森元医師は注意を促す。

 筆者は数年前、マスクをしたときに自分の息が臭うことに気づいた。加齢のせいかとひどくがっかりして、外出の際には必ず洗口液で口をゆすぐようになった。その後、歯科に通院するようになったところ、歯科衛生士から、「こことここに食べカスがたまるので、歯間ブラシを使ってください」と指摘された。言われたとおりにやってみると、口臭はしなくなった。自分の経験からも、やはり歯医者に行って指導してもらうことが必要だと思う。

なぜ、高齢者の口臭はあんなにキツイのか

「母が入所している老人ホームに行ったとき、施設中が臭くて驚きました」と、社団法人総合健康支援推進協会代表理事の土田良一氏は語る。

 その正体は、入所者たちが発する口臭だった。確かに、若い人でも口が臭い人はいるが、高齢者の口臭はその何倍も強烈だ。高齢になると、歯周病がかなり進行する。歯周病によって歯周組織が退縮したり、歯が傾斜したりするために磨き残しが多くなる。また、義歯の多くは吸水性のあるプラスチックでできているため、口腔内細菌を含む汚染物が義歯内部に侵入しやすい。そのほか、舌苔や加齢臭、全身疾患からくる免疫低下による口腔内細菌の増殖なども考えられる。これらが口臭の原因となるのだ。

 土田氏は自分の経験をもとに、同協会を設立。「最期まで、自分の口で好きな物をおいしく食べる」ことを目的に、介護現場で働く人たちを対象にした「介護口腔ケア推進士検定試験」を開催するなど高齢者の口腔ケアの重要性を伝える活動を行っている。

「食べ物をよく咀嚼して唾液と混ぜ合わせることで栄養吸収されます」と、森元医師は語る。

「ミキサー食になっているお年寄りが便秘と下痢を繰り返すのは流し込んでいるだけだから。唾液の恩恵を受けないと消化吸収していかないのです」

 口腔機能が低下すると、低栄養状態になる。そうすると、全身の免疫力の低下により感染しやすくなる。基礎疾患が重篤になる可能性も高くなる。シワも増え、骨密度も減り、筋肉も減る。だから、高齢になればなるほど口腔ケアが重要になるのだ。

「芸能人は歯が命」というCMがあったが、一般人だって歯が命だと思ったほうがいい。

(文=林美保子/フリーライター)

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