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野村証券「外し」拡大…“最強の営業部隊”凋落で巨額赤字、情報漏洩や詐欺関与疑惑も

文=編集部

「野村外し」が広がる

 金融庁の業務改善命令を受け、産業界から「野村外し」の動きが加速した。財務省は、政府が保有する日本郵政株の第3次売却について、大和証券やゴールドマン・サックス証券など6社を主幹事証券に選定、野村証券は落選した。

 政府は日本郵政株の57%を保有しているが、第3次売却で保有比率を3分の1超にまで下げる。今回の売り出しは1兆2000億円を超える。

“敵失”でシェア拡大のチャンスとなった同業他社からも「この規模の売り出しを野村証券なしでこなせるのか」と、懸念する声が出ている。1次、2次の売り出しで野村証券は5000億円強を引き受けた実績があるからだ。

 日本郵政株第3次売り出し前にも日本郵政が保有する、かんぽ生命保険株の売り出しの主幹事から野村証券が外れた。全体を仕切るグローバル・コーディネーター(GC)は、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券の3社。GCに次ぐ主幹事にみずほ証券とメルリリンチ・インターナショナルを選んだ。

 野村証券は15年の日本郵政、かんぽ生命、ゆうちょ銀行のグループ3社の同時上場や、17年の郵政株の2次売り出しで、いずれもGCに入った実績がある。

 19年1月、かんぽ生命が初めて劣後債を発行した際の引受先は大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社で、ここでも野村証券は外れた。そして今回の日本郵政株の第3次売り出しで“3連敗”となったわけだ。

 社債発行の主幹事からも「野村外し」が続出した。コマツ、大阪ガス、ホンダの金融子会社であるホンダファイナンス、東京メトロ、不二製油グループ本社が、社債発行の主幹事から野村証券を外した。

 ここ数年、社債引受額で、みずほ証券、野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレーの3証券がトップ争いを続けてきたが、「野村外し」が広がると社債市場の勢力地図が変わることになる。

最強を誇った営業部隊がネット証券に浸食される

 野村証券は6月5日、全国156の本支店・営業所のうち首都圏と大阪・名古屋周辺の25支店を廃止し、それぞれ近隣の規模の大きい支店に統合する計画を発表した。8月5日から9月9日にかけて順次、統廃合を進める。

 今回の三大都市圏での支店統廃合によって、年間14億円のコスト削減効果を見込んでいる。25店舗で働く約700人の従業員は近隣の店舗などに異動する。

 野村HDは4月、国内全営業店の2割に当たる30店以上を統廃合する方針を明らかにしており、三大都市圏での支店の統廃合は、この一環である。

 野村証券の個人向け営業部門は、他社から最強と恐れられてきた。同社を業界不動の首位に押し上げる原動力が営業部隊だ。営業といういわば聖域に手をつけざるを得なくなったということだ。

 法人や海外が赤字でも、営業部門が下支えしてきた。この最強軍団の神通力が衰えてきたといえる。

 野村HDの19年3月期の連結最終損益(米国会計基準)は、1004億円の赤字に転落した。通期の赤字転落は09年3月期以来10年ぶり。08年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズののれん代を減損処理したことが大きく響いた。

BusinessJournal編集部

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