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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

鳥貴族、出口なき長期不振の原因は「タッチパネル式注文」の導入?

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「メニューが豊富な総合居酒屋でしたら理にはかなっていますが、メニューが比較的少ない専門居酒屋の鳥貴族ではコミュニケーションの悪循環を生みだしてしまったようです。」(同)

 メニュー数で見ると、鳥貴族は専門居酒屋のなかでも決して多いほうではない。

「鳥貴族としては、自信のある売れ筋商品を注文してほしいという意図があると思います。ですが、売れ筋中心に絞り込まれたメニューだと、リピートを何度かするうちに飽きられてしまうデメリットもあります。居酒屋という業態は“遊び”の要素を期待して顧客は来店するのですから、合理的すぎると興ざめしてしまうのでしょう」(同)

「メガハイボール」が客単価を下げている

 しかし、同社リリースによると客数は目立って低調なわけではなく、2019年5月の客数は、前年同月比100.4%と、若干とはいえ今期初のプラス。キャンペーン等によって顧客の来店を促すことに成功しているが、売上が上がらないのはなぜか。

「それは客単価が上がらないからでしょう。鳥貴族では値上げに際して、ボリューム感を増した品も相応に導入されました。その結果、顧客からすると十分すぎる量が提供されるために追加注文をする必要性を感じなくなってしまったようです。女性からは『量を減らしてもいいから価格を安くしてほしい』との声もあるほどです。特に『メガハイボール』といった大ジョッキでのコスパのいいドリンクの提供によって、飲み物の追加オーダーが減少傾向にあるとのことです。『メガハイボール』なども同じく298円ですから、均一価格政策が裏目に出てしまったようですね」(同)

 同月の客単価は前年同月比98.2%。客足が回復しても単価が増えなければ、全体の売上もなかなか伸びない。合理化と店舗コンセプトに首を絞められて苦しむ鳥貴族の打開策は?

「鳥貴族に限った話ではないのですが、何かしらリピートしたくなる要素が飲食店には必要です。メニューを飽きさせないことや、店内の快適さ、店員とのコミュニケーションで顧客が店舗に愛着を持てるなど、店舗から提供されるトータルサービスの良さが常連をつくります。価格やメニューだけではない総合的な魅力づくりを意識してほしいですね」(同)

 コスパがよければ若い世代には受け入れられるが、その上の世代のツボを押さえないとこの厳しい外食シーンで生き残るのは難しい。鳥貴族は今後も値下げをするつもりはないとしており、その決断に間違いはないかもしれない。だからこそ、経営合理化以外でお店の魅力を充実させてほしいものだ。

(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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