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「ぶっ殺すぞ」と被疑者を脅し証拠捏造する検察、冤罪とわかっても認めない裁判所

文=深笛義也/ライター
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 日本テレビの報道局記者である清水氏が、番組制作のために取り組んだのは、栃木県足利市と群馬県太田市という隣接した2市で、17年の間に5人もの幼女が姿を消した連続幼女誘拐殺人事件であった。被害者遺族から話を聞き、現場で検証を行い、目撃者を探し出すという地を這うような取材の末、足利での幼女殺害で菅家さんが犯人とされていることに矛盾を見いだした。遺留品に残されたDNAと菅家さんのDNAの一致が虚偽の自白に結びついたのだが、最新の鑑定では一致しないとして、再鑑定を行うべきだと放送で主張し続けた。そして再鑑定は行われ、菅家さんの無実は証明された。

 放送や新聞などのマスメディアでも冤罪の問題はしばしば取り上げられるが、それは司法の判断が下ってからである。報道が司法を動かしたきわめて稀なケースであり、まさに「こんなことができる人間がいるのか」と驚嘆させられる。

 この「文庫X」の動きは全国の600店以上に広がり、初犯3万部だった同文庫の刊行部数は、30万部を超えたといわれている。

裁判官は「権力の番人」

 裁判官として東京地裁や最高裁に勤務した経験から声を上げたのが、明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志氏である。『ニッポンの裁判』『絶望の裁判所』(講談社現代新書)や、清水氏との対談『裁判所の正体』(新潮社)で、裁判所の実情を明らかにしている。

 日本国憲法第76条では「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」として、裁判官の独立が謳われている。だが独立などはしておらず、裁判官は「憲法の番人」ではなく「権力の番人」なのだと、瀬木氏は喝破する。

 その実例として、2014年に大飯原発差し止め判決を出した樋口英明裁判長が翌年、名古屋家裁に異動させられたことが、『裁判所の正体』で挙げられている。ちなみに差し止め命令は、2018年に名古屋高等裁判所金沢支部で取り消された。欧米なら大問題になるこのような異動が、日本では一部のジャーナリストによって伝えられているのみだという、メディアの異常さも指摘されている。

 最高裁事務総局の論文が「判例タイムズ」に載ると、出世を考える裁判官たちはそれを目を皿にして読み、その意向を汲み取って判決に反映させるということも『ニッポンの裁判』では紹介されている。

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