鈴木貴博「経済を読む目玉」

AIの覇権、米国GAFAから中国巨大IT企業へ移行始まる

 このモンスター型のAIには、従来のITプログラムと大きく違う点がふたつあります。ひとつは扱うデータの量が莫大であること。言い換えれば非常に巨大なコンピュータでないと扱えないレベルのデータ量を消化できる化け物だということです。そしてもうひとつは、育つためには良質なビッグデータをどれだけ潤沢に供給できるのか、AIを育てる環境が成長を大きく左右するということです。

 この2つめの点で、これまでは消費者のウェブ閲覧行動データや購買行動データを保有するアマゾングーグル、日々の活動やそれに対する反応データを大量に保有するフェイスブックのようなSNS企業が、モンスター型AIを育てる最適環境を持っていました。そしてGAFAと呼ばれるこれらの巨大IT企業群が、2020年代の世界を操っていくのではないかと想定されてきました。

 ある意味でそれは現実化していたのですが、ここへきてひとつの巨大な障壁が出現しています。

フェイスブックデータの流用事件が意味すること

 それが先進国における個人データ保護の壁です。その象徴的な転換点となった事件が、ケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブックデータの流用事件です。

 これは選挙PR会社であるケンブリッジ・アナリティカが、フェイスブックに無断でそのユーザー数千万人分の履歴データを流用したという事件ですが、あまり広く知られていない不都合な事実が、この事件の背後に隠れています。それはフェイスブックユーザーの個人データを活用することで、世論を変える操作が可能だということがわかってしまったということです。

 フェイスブック上であなたが「いいね」を押すたびに、フェイスブックのAIはあなたのことを学習できるのですが、そのレベルは世の中が思っている以上に高いのです。もしフェイスブック上であなたがいいねを150回押せば、フェイスブックのあなたについての理解は、あなたの配偶者やパートナーが理解しているよりもずっと深くなるといわれています。そして300回のいいねが集まれば、フェイスブックはあなたよりも深くあなたのことを理解するといいます。

 そのデータを活用したのが、ケンブリッジ・アナリティカです。フェイスブックデータを利用して、イギリスでは国内のEU離脱推進派のための選挙PRを請け負い、アメリカではトランプ候補の大統領選挙対策を請け負っていました。そして同じような思想傾向を持つマイクロセグメントに分けた国民ごとに違うメッセージを発信して、有権者の行動を微妙にシフトしていく活動を行いました。

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