ヤマハ「月極ライダー」、購入不要で他社製バイクも低額&定額利用…業界、競争から協力へ

 加えて、消費者は出費を抑えられる。ヤマハ月極ライダーは、コスト総額(車両本体、法定費用、保険料などの合計)の5%を毎月支払えばよい。コスト総額16万円のスクーターをサブスクライブしたいのであれば、ひと月8000円で済む計算だ。自分で16万円のバイクを買うことを考えれば、利用料金の低さは魅力的だ。中古のバイクを対象としている点も、支払総額を安く抑える秘訣だ。

ヤマハの狙い

 ヤマハは月極ライダーを通してバイク利用人口を増やしたい。本来、企業が成長を目指すためには、自社ブランド製品のシェアを高めることが必要だ。ただ、市場全体が縮小するなかで一企業がシェアの増大を目指すことは容易ではない。その上、新興国企業の台頭によってさまざまな業界で価格競争が激化している。

 1990年代以降の日本のエレクトロニクス業界はその良い例だ。国内では、各電機メーカーが自社ブランドの家電製品の開発とシェアの維持に執着し続けた。一方、海外では韓国や中国の企業が競争力をつけ、低価格で満足のいく機能を持った製品を販売し始めた。国内で製品を生産し、輸出することにこだわった日本企業は、この変化に適応することが難しかった。

 この教訓をヤマハは生かそうとしている。販売台数を伸ばして収益を得るために、ヤマハは市場そのものを大きくしたい。1980年、国内の二輪車販売台数は230万台だった。2017年の販売台数実績は35万台にまで激減している。日本では少子化と高齢化に加え、人口の減少が急速に進んでいる。国内経済が縮小均衡に向かうに伴い、バイクの販売台数はさらに減少するだろう。

 サブスクリプションを通して人々は、出費を抑えつつ、好きなバイクを選ぶことができる。バイクに乗ったことのない人が「これはおもしろい」と実感できれば、バイクの利用人口は増える。ヤマハはそれを狙っている。見方を変えれば、サブスクリプション・ビジネスには、ハード(製品)を作る企業が、ソフト(人々の生き方)を創造する側面がある。

 当面は埼玉県限定で月極ライダーのサービスが提供される。ヤマハがここで得られた経験をもとに自社の新型機種などを対象としたサブスクリプション・ビジネスを進めることができれば、国内バイク業界におけるヤマハの存在感は従来以上に大きくなる可能性がある。

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