ヤマハ「月極ライダー」、購入不要で他社製バイクも低額&定額利用…業界、競争から協力へ

ヤマハが目指すオープン・イノベーション

 ヤマハは、自社内の要素に社外の発想や技術を組み合わせ、新しいモビリティーを生み出そうとしている。それは、同社がオープン・イノベーションを目指していることにほかならない。月極ライダーの実証実験開始の背景にも、社外から新しい発想やテクノロジーを取り込んで、環境の変化に適応しようとするヤマハの考えがある。

 すでに2016年、同社は長年のライバルであり一時は“HY戦争”といわれるほどに覇権を争ったホンダとの提携を発表した。ヤマハは国内用エントリーモデルとしての50ccバイクを残すために、ホンダからのOEM供給を選択した。2019年に入りヤマハは電動バイクの新興企業に投資を行い、ホンダ、スズキ、川崎重工業と電動バイクの普及に向けた協議会も発足させた。

 今後、ヤマハはさらに積極的に、社外から新しい発想を取り入れ、バイクを使う楽しみや、新しいテクノロジーの実現を目指すだろう。特に注目したいのが、ヤマハの新興国ビジネスだ。ヤマハの売上高の90%は海外からもたらされている。売上高の60%は二輪車事業が占めている。二輪車事業の売り上げの60%超がアジア地域だ。

 新興国では二輪車需要が旺盛だ。何よりも自動車に比べてバイクは安い。渋滞が多い交通事情から、バイクを生活の足として重視する人は多い。そのなかで、ヤマハやホンダなど日本製のバイクは、品質の高さから人気だ。環境への配慮などから電動バイクへの需要も拡大するだろう。

 成長が見込める新興国において、ヤマハがサブスクリプションのサービスを提供できれば、新興国二輪車市場における同社の存在感は一段と高まるだろう。そのために埼玉県における中古二輪車のサブスクリプション・ビジネスがどうなるかは見逃せない。月極ライダーを手がかりにヤマハがバイクのあるライフスタイルを人々に提示し、ファンを獲得することができれば、ホンダやスズキなどほかの企業に刺激を与える。それは、わが国の産業界のダイナミズムを引き上げるためにも重要だ。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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