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囲碁・最年少プロの仲邑菫(10歳)、AIとの対戦が話題…人間はAIに勝てないが定説に

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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仲邑菫初段

 

 囲碁の最年少プロ、仲邑菫初段(10)が7月10日、大阪市内で公の場としては初めて囲碁AI(人工知能)と対戦したが、ほろ苦い結果となった。対戦相手は「GLOBIS-AQZ」。全国に経営学校を展開しているグロービスやエンジニアの山口祐氏(32)らが囲碁の若手育成のために共同で開発したソフトで、対戦前、「仲邑初段と同等くらいの力」とされていた。

 将棋界で佐藤天彦名人(当時)がAIと対戦した時のように、てっきりロボットが出てきて盤に石を置いていくのかと思っていたが、仲邑初段と碁盤を挟んだ席には小さなパソコンを横に置いて山口氏が座った。もっとも山口氏が次の手を考えるわけではなく、仲邑初段の手を認識したAIが考えた手をパソコンに示して、その通りに石を置くのである。日本では実際に将棋を指すロボットはあるものの、囲碁のロボットはまだないそうで「中国から借りようとしたが借用料金が高くて断念した」(後藤俊午日本棋院常務・九段)とのことだった。

寡黙は相変わらず

 持ち時間は1時間。先手の黒石はGLOBIS-AQZ。終始優位に進めたGLOBIS-AQZに、白石を握る仲邑初段が懸命に反撃するが、“落ち着いた相手”に的確に応じられる。仲邑初段が先に時間を使い切って「秒読み打ち」に追い込まれる。結局、仲邑初段が投了した。

 会見では「AIはどうでしたか?」と聞かれ「強かった」とだけ語り、あとは何を聞かれても無言。早く帰りたそうな表情を見せた。山口氏は「仲邑さんが下辺にすごく強い手を打ってきたり、コウが2カ所に出るなど、こちらが弱い局面が現れたりして意義があった」と語った。GLOBIS-AQZは今後、囲碁AIの世界大会を目指す。

 GLOBIS-AQZは、この対戦までに7時間で約50万局程度、自らのソフト同士で対戦を行い学習したが、人間の対局データは入れてないという。一方、仲邑初段はこの日、デビュー100日だったが「生まれてからこれまで、1万局は超えていないでしょう」(日本棋院広報)とのことだった。

 仲邑初段をよく知る後藤九段は「今回のAIは強すぎますよ。本当は菫さんが今日勝って、GLOBIS-AQZは後日に行われる芝野虎丸七段(19)との対局に勝って、急速な進歩をアピールしたかったのかもしれないけど、そのシナリオがちょっと崩れたかなあ」と笑っていた。

 この日、対局室の隣の記者室になった広い部屋では、菫初段を引率してきた母・幸(みゆき)さんが心配そうに記者たちと一緒にAbemaTVの生中継で観戦した。アマチュア六段で囲碁のインストラクターだった幸さんは、記者の解説にうなずきながら見守っていた。

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