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「銀行員の存在価値がなくなる」…高齢者や中小企業に不必要な投資信託や融資を押し売り

文=江戸川正/清談社
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「gettyimages」より

 地方銀行の苦境が叫ばれて久しい。人口減少だけでなく、日本銀行による量的緩和やマイナス金利政策などの影響で、今や地銀の約半数が本業で赤字に陥っているという。

 とある地銀に入社して4年目のA氏は25歳の男性。現在の主な業務は融資の営業だが、地銀の未来に絶望しているという。

「現在の地銀は仕事がなくて暇だと思われているかもしれませんが、実は逆。むしろ忙しいのです。かつての地銀は預金を集めて融資していればよかったのでしょうが、今は保険や投資信託を必死に売り、頭を下げて融資を出させてもらっている。業績が確実に下がってきているので、その回復や維持のために業務は増えているわけです」(A氏)

 地銀お得意の融資も現在は無理を言って借りてもらう立場で、わずかな金利差で稼ぐしかないというわけだ。しかし、「それもいつかは破綻する」とA氏は断言する。

「融資の営業は景気がいい企業を狙っていきます。銀行は半期ごとにノルマがありますが、半期が終わるたびに、また同じ企業に融資をお願いするしかない。要するに、付き合いで借りてもらっている状況ですね。もちろん『またですか……』と断られることもあり、借りたところで使うアテもない企業も徐々に増えているので、このような前時代的なやり方はもう崩壊寸前だと思いますね」(同)

 融資以外の稼ぎ口は保険や投資信託の販売だが、それもジリ貧の様相を呈しているという。

「日中の時間帯はお年寄りしか在宅していませんから、投資信託のお客さんは高齢者が多い。騙しているとまではいきませんが、それに近い耳ざわりの良い言葉を並べて買ってもらっている状況です。融資もそうですが、本当にお客さんのためになっているのか、なんのための地銀なのか、甚だ疑問に思います」(同)

 良心の呵責に苛まれながら日々を過ごしているというA氏。地銀のビジネスモデルと同様に、現場の行員のモチベーションも限界に近づいてきている。

ボーナス一律カット、毎月20人が退職

 地銀崩壊の根本的な原因について、A氏は「少子高齢化による人口減少だけでなく、インターネットの影響も大きい」と話す。

「ネットを使える人は、口座開設も送金もすべて自分でできますよね。今の世の中、わざわざ窓口に来るのはネットを使えない高齢者がほとんど。そうした高齢者が30年後にいなくなると、いよいよ窓口業務は消滅します。投資信託もネットでできますし、融資の審査もAIがするようになれば、我々銀行員の存在価値はなくなります」(同)

 人口減少で預金口座数も融資先も減っていき、投資信託や保険を買ってくれる高齢者もいなくなる。どう考えても悲惨な未来しか待っていない地銀に見切りをつけて、去っていく人もかなり多いという。

「うちでは毎月20人弱は辞めていますね。若手だけでなく、課長などの役職クラスもどんどん辞めています。彼らは『地銀に未来がない』と見通せる賢い人で、逆に残っている人はいまだに『銀行は潰れない』という神話を盲信している、言ってしまえば仕事のできない人たちですね」(同)

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