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コンタクトレンズ業界の闇、国が調査へ…「価格高止まり」の裏にメーカーの圧力

文=編集部

 日本では1951年、メニコンの創業者である田中恭一氏が国内初の角膜コンタクトレンズの実用化に成功した。

 1991年に国内で認可された「使い捨てコンタクトレンズ」が転機となり、外資系が一斉に参入してきた。

 市場調査会社、矢野経済研究所の統計(シードの推定値)によると、1992年の国内コンタクトレンズ市場メーカー別シェアは、メニコン(東証1部上場)が33%でトップ、シードが14%で2位など、国内勢がシェアの81%を占めていた。

 しかし、2016年には国内勢のシェアは35%まで低下。J&Jが34%でトップシェア、メニコンが18%で2位。スイスに本拠を置く眼科領域のリーディングカンパニーの日本法人、日本アルコンが12%で3位。4位はシードとソフトコンタクトレンズの世界市場3位の米クーパービジョンの日本法人クーパービジョン・ジャパンがそれぞれ10%。世界で初めてソフトコンタクトレンズの実用化に成功した米ボシュロムの日本法人ボシュロム・ジャパンが7%。J&J、アルコン、クーパービジョン、ボシュロムの外国の主要4社のシェアは63%に上り、日本勢は押されっぱなしの状況だ。

次世代素材シリコンハイドロゲルレンズで国内勢が攻勢

 調査会社GfKジャパンは、全国のコンタクトレンズ・メガネ専門店の販売実績データなどを基に、2018年のコンタクトレンズ市場の販売動向をまとめた。

 18年のコンタクトレンズの小売り販売市場の販売金額は前年比5%増の3130億円。1箱当たりの税抜き平均価格は3050円と、前年から3%上昇した。

 高い酸素透過性で眼の負担を軽減することに特徴があるシリコンハイドロゲル素材を採用した高付加価値レンズが、18年には金額ベースで対17年比11%増と大きく伸長。市場全体におけるシリコンハイドロゲルの金額構成比は38%。前年から2ポイント拡大した。「2週間交換」タイプで77%、「1日使い捨て」タイプでも25%のシェアを取っている。

 メニコンがシリコンハイドロゲルレンズで実績を積んでいる。かつて国内の3分の1のシェアを持っていたが、長期使用型のコンタクトが主力だったため、使い捨ての海外勢にシェアを奪われた。そんななかで15年12月、岐阜県の各務原新工場で、シリコンハイドロゲルの使い捨てのタイプに絞った新ブランド「プレミオ」を立ち上げた。

 使い捨てコンタクトレンズは、新素材のシリコンハイドロゲルレンズを軸に乱戦模様となっている。

 今回、コンタクト大手3社に公取委が調査に入ったのは、広告の表現に縛りをかけるのは「競争をするな」と言っているのに等しく、問題は大きいと判断したからにほかならない。公取委の目に余るほど、販売の現場では激烈なシェア競争が繰り広げられている。
(文=編集部)

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