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木村隆志「現代放送のミカタ」

『ルパンの娘』ドラマ界のエポックメイキングな作品に?フジテレビのファインプレー

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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 そんな世界観を創出しているのは、今年の大ヒットコメディ映画『翔んで埼玉』を手がけたばかりの演出・武内英樹、脚本・徳永友一のコンビであり、今作でも同様の振り切った笑いを創出。さらに、映画『テルマエロマエ』『信長協奏曲』『SP』などを手がけた稲葉直人プロデューサーが、キャスティング、音楽、ロケ、美術、衣装などのディテールをきっちり整えている。つまり、好き嫌いの好みはさておき、「強力スタッフによるクオリティは保証済み」ということだ。

 当作が放送されている『木曜劇場』のスタートは1984年。その歴史は、看板ドラマ枠・月9の1987年よりも長く、これまで大人の恋愛、夫婦、仕事、人生が描かれてきた。必然的に視聴ターゲットの年齢層は高くなるが、『ルパンの娘』は若年層にもしっかりリーチできている。

 相変わらず刑事や医療などの命をめぐる作品が多いなか、ここまで軽さを徹底できれば、強烈な差別化となって当然。特に、いち早く“異質なもの”に反応する若年層にとっては、瞬間的に「おもしろそうなもの」としてみなされるはずだ。この戦略変更はフジテレビのファインプレーといえるかもしれない。

 まだ2話の放送を待つ段階だが、クセしかないキャラクターたちは回を重ねるごとに愛着が増していくのではないか。「仕事や学校の疲れがたまる週半ばの夜は、これくらい何も考えずに笑えるドラマをつくろう」。

 フジテレビと『木曜劇場』にとって、ひいてはドラマ業界にとって、今後の制作方針を左右するエポックメイキングな作品になっても驚かない。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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