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ジャニー喜多川が語ったおのれの死後と我が愛するタレントたち「ボクがいないほうがいい」

文=平松優子
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「どのタレントにも存在する『人間の美しさ』」

 2017年、事務所を去った元SMAP・稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾にかけたこんな言葉からも、その愛の深さは見えてくる。

「僕が親と言ったら、ずうずうしいかもしれないけど、親だと思っている。親にしてみれば、子供が成長していくことは非常にうれしいこと」(サンケイスポーツ)

「彼らはさらにキャリアを積もうとしている。今までと同じように応援していきます」(スポーツニッポン)

 また、そんなジャニー氏がアイドルを育成するうえで最も大切にしていたのが「人間力」だ。氏が唯一、自らの肉声で語った貴重な番組『蜷川幸雄のクロスオーバートーク』(2015年1月1日NHKラジオ第1)でも、次のように語っている。

「アイドル作りは人間作り、人間作りは難しいと思う。でもそれだけにやりがいがありますよね」
 
「やっぱり人間はそれぞれみんないいところがあるの、不思議なことに。マッチなんかもそうですよね。写真だけ見たって『何この子?』って。けどね、なんていうのかな。ハートがやっぱり伝わってくるんですよね。それぞれ若い人って、本当に気持ちがありますよ」
 
 また、同番組ではパーソナリティの蜷川氏から「いい子だと思って残しといたら、ちっとも成長しない子だっているでしょ?」と質問を投げかけられる一幕も。しかし、語尾に被せる勢いでジャニー氏は「いない」と即答している。
 
「30年も50年もやってるけど、失敗はないと思いますよ。やっぱり人間を扱ってるから。どの子にもみんな『人間の美しさ』っていうものがあるんですよね。それ相応に……。おこがましい言い方だけど……」
 
 スターの原石を見いだす”審美眼”の鋭さを評価されることの多い氏だが、いくら優れた原石でも、自然と光輝くことはない。それぞれの人間力を尊重し「YOUならできるよ!」「YOUやっちゃいなよ!」。そんな無邪気な言葉でタレントたちに自信を持たせ、育てあげてきた手腕こそ、評価に値するものだ。

「昔は良かったっていうのは嘘」

 救急搬送される前日まで、ジャニーズJr.の舞台『ガムシャラ!サマーステーション』のリハーサルを見学し、NHKホールで行われた「ザ少年倶楽部」の収録にも姿を見せるなど、次代を担う少年たちの成長を何よりも楽しみにしていたというジャニー氏。
 
「理屈っぽいじじいみたいなことは言わない。カッコよくいきたいから。『俺らが若い頃は……』なんて、絶対に言わない」
 
「昔は良かったっていうのは嘘。昔が良かったなんてことはあり得ない。新しい時代ほど、どんどん良くなってますよ。みんな(歌もダンスも)覚えるのが早いし。(中略)若い子たちから教えられることのほうが多いですよ」(両発言ともに『蜷川幸雄のクロスオーバートーク』)
 
 こんなふうに語り、「今」を生き続けていた氏は、2020年東京オリンピック&パラリンピックを視野に入れ、日々精力的に走り続けていたという。いくつになっても少年の心を持ち、未来を描き続ける姿勢こそ、多くのタレントたちから支持されるゆえんだったのだろう。
 
 ジャニー氏の死去に際し、多くのタレントたちが、テレビ番組やFAX、SNSなど様々なかたちで感謝の思いを寄せた。決して、友好的に事務所を去ったとは言い難いジャニーズOBたちでさえもだ。
 
 連日報道されるその言葉は、感動あり、ユーモアありといずれも個性豊か。ジャニー氏が育てあげたタレントの層の厚さを改めて感じさせられるとともに、心温まるエピソードの数々が「ジャニー氏の旅立ち」という舞台を華やかに彩っているようにも感じられる。

「ほら、みんなやっぱりすごいでしょう?」

 得意げに語るジャニー社長の声が天から聞こえてきそうだ。

(文=平松優子)

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