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手探りでの海外生活

ビザについての知識もなく海外での生活を始めたという。
「最初は観光ビザだったし、英語も話せないし、誰も雇ってくれない。観光ビザでは働けないことを知り、それで初めて『ビザが必要なんだ』と認識し、調べてビザを取るという具合でした。そんな感じで生活を始めて、必要なことがわかったら一つひとつ解決していきました」(同)
なんとも肝が据わっているさとう氏は、仕事も自分の力で開拓していった。
「LAでは、子供部屋の壁にもアートペイントをしたりするんですよ。そこで、直談判で『壁に絵を描かせてほしい』と頼んで描かせてもらって、出来上がった絵を見て『上手いじゃん』と言われて20ドルもらう、という感じの繰り返しでした。徐々に仕事ができるチャンスに恵まれて『意外とやっていけるかも』という気になりましたね」(同)
そのポジティブさと行動力で、アートペイントアーティストとしての道を切り開いていった。そのままロサンゼルスで活動を続けるつもりでいたさとう氏だが、日本へ帰ることになった。
「活動していくなかで支援者もできたのですが、その方が日本へ帰ることになり、それをきっかけに私も帰国しました」
ロサンゼルスでアーティストとして自信をつけたさとう氏は、意気揚々と帰国の途についた。
運が味方し、テーマパークでの仕事に就く
日本でアーティストとして活躍できることを願って帰国したさとう氏だが、現状は厳しかった。
「日本では海外のようにアートペイントの仕事はなく、どうやって生活していくべきかわからない状況でした」(同)
しかし、“運”がさとう氏の味方をした。
「ちょうど、あるテーマパークの建設が始まり、壁画などを描くアーティストが海外からも大勢来ていたのですが、そのなかにアーティスト仲間がいて、『お前も来いよ』と声をかけてくれました。おかげで私もそのテーマパークの壁画を描くことができました」(同)

その仕事は1年近く続き、やり甲斐のある仕事だったという。
「テーマパークでの仕事は、私にとっても大きな実績となりました。評価していただき、アーティストとしてステップアップできました。また、長期間の仕事で仲間との横のつながりも広がりました」(同)
こうしてテーマパークでの仕事が高い評価を受け、新たな仕事を呼ぶ結果となり、活躍の場を広げていった。