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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

エアバス「単通路型」新旅客機に世界中から発注殺到…事故続出のボーイングに圧倒的な差

文=橋本安男/航空経営研究所主席研究員、桜美林大学客員教授、運輸総合研究所客員研究員
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 さらに航続距離を延ばすには、貨物室の補助タンクの数を増やせば良いのだが、そうするとすでに10区画ある貨物室の3区画を補助タンクでつぶしているので、旅客の荷物を積むスペースの余裕がなくなってしまうというジレンマを生ずる。

 そこで、エアバスは今回の新しいA321XLRでは、補助タンク3個の代わりに据え付け型のタンクを翼後方の貨物室に新設した。このリア・センター・タンクと呼ばれる燃料タンクは、メイン・ギア(主脚)収納部の膨らんだスペースも利用するので、補助タンク2個分の長さで4個分以上の1万2,900リットルの燃料を積むことができる。オプションで1個の補助タンクの追加も可能で、単通路のナローボディ機では前代未聞の約8,700kmの航続距離を実現できることになった。つまり、必要な貨物スペースを確保しながら、飛行9~10時間の国際線を可能としたのだ。

 燃料を大量に積むため、最大離陸重量を4トン重くして101トンとし、重くなったためランディング・ギアを強化し、また離着陸性能を維持するためフラップも改良された。

LCCだけではなく大手航空会社にも魅力的なA321XLR

 パリ航空ショーでスター的存在となったA321XLRは、覚書や従来発注分からの機種変更も含め、240機を超える注文を受けた。一般にナローボディ機とワイドボディ機の比較では、運航コスト面ではナローボディ機が優れ、機内の快適性ではワイドボディ機が優れている。この意味では、この新型機はLCCの国際線向きなのだが、LCCだけではなく、アメリカン航空が50機(内30機は機種変更)、イベリア航空8機、サウジアラビア航空15機など大手航空会社からも多くの注文があった。

 かつては国際線といえば大型機で、国際ハブ空港間で大量の旅客を輸送するのが常であったが、時代の趨勢は大型機からB787やA330のような中型機に移りつつあり、国際ハブ空港を経由して直接、中都市の目的地を結ぶケースも増えてきている。A321XLRのような小型旅客機であれば、国際線でさらに小さな都市まで目的地を広げられ、ネットワークを拡大することができる。もちろん、LCC、大手航空会社を問わず、器が小さい小型旅客機であれば、旅客需要のコントロールがしやすく路線の維持が容易となるメリットは大きい。

 日本への影響も当然出てくる。A321XLRは、小型旅客機ではこれまで届かなかったオーストラリアやインド全域を路線対象にできる。また、小型であることから地方空港から直接ハワイやオーストラリアを結べる可能性も出てくる。

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