片田珠美「精神科女医のたわごと」

なぜ放火犯は京都アニメーションを狙って33人も殺害したのか? 連鎖する無差別殺傷事件

 というのも、無差別殺人は、秋葉原無差別殺傷事件のように「誰でもよかった」と不特定多数をターゲットにした事件と、大阪教育大附属池田小事件や相模原障害者施設襲撃事件のように特定の集団をターゲットにした事件に大別されるが、今回のように特定の会社を狙った場合は後者である可能性が高いからだ。だから、「誰でもよかった」わけではなく、本人なりに何らかの理由があって「京都アニメーション」を選んだのではないか。

 この男は、警察官に取り押さえられる際、「パクリやがって」と声を荒らげたということなので、かつてアニメに何らかの形で関わっていたのかもしれない。あるいは、アニメに強い思い入れや執着があるのかもしれない。

 この男自身もやけどを負っており、病院に搬送されたようだが、容体が回復したら、「京都アニメーション」を狙った理由を慎重に取り調べるべきだろう。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

片田珠美『無差別殺人の精神分析』新潮選書、2009年

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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