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パワハラ防止法、経団連の反対で罰則規定入らず…経団連、全面禁止条約の採決で“棄権”

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「職場のパワーハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為であるとともに、職場環境を悪化させるものである。こうした問題を放置すれば、人は仕事への意欲や自信を失い、時には、心身の健康や命すら危険にさらされる場合があり、職場のパワーハラスメントはなくしていかなければならない」

 さすがに厚労省でもパワーハラスメントは「許されない行為」と考えていた。その上で同提言は、職場のパワーハラスメント行為の典型例として次のようなものを挙げている。

(1)暴行・傷害(身体的な攻撃)
(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
(5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
(6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

(1)と(2)は、パワーハラスメントである以前に、明白な犯罪行為であり、実行犯は立件されれば刑事罰に処される。(3)にしても「適正な業務の一環」と呼べる行為ではない。問題は(4)から(6)である。同提言でも「業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない場合がある」としていた。

 ところで我が国には、職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける通称「パワハラ防止法」がある。労働施策総合推進法や女性活躍推進法など、関連する5本の法律を改正したもので、今年5月29日に可決・成立したばかりだ。相談窓口の設置といったパワハラ防止対策を企業の義務と定め、施行は来年春を予定している。

 ただし、このパワハラ防止法には、前掲のILO条約が各国政府に求めている「禁止規定」や「罰則規定」がない。新聞各紙の報道によれば、経団連をはじめとした経済界が訴訟リスクを恐れ、これらの規定に強く反対したためなのだという。

 その最たる理由は、厚労省の「提言」も懸念していた「業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない」というもの。しかし、たとえ現行のパワハラ防止法には罰則がなかろうと、「職場のパワーハラスメント」行為には常に訴訟リスクが付きまとっている。現に、同法の成立前から「職場のパワーハラスメント」が労災認定されるケースや、被害者労働者からの損害賠償請求が認められる判決が続出している。さらには、パワーハラスメントの果てに女性新入社員が過労自殺した広告最大手・電通の違法残業事件では、東京簡易裁判所で公判が開かれ、法人としての電通は労働基準法違反罪で罰金50万円という刑事罰を受けている。

 経済界が訴訟リスクを恐れ、「禁止規定」や「罰則規定」にいくら抵抗したところで、訴訟リスクから逃れることはできない。

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