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堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

嫌なことがあった日の解消法に関する科学的研究…「酒」「鬱憤晴らす行為」は逆効果

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
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 さらに、北京師範大学のリウらの研究(2016年)では、男子学生73人にたくさんの嫌悪感を与える映像を2日間にわたって見せました。そして、それらの映像を思い出したり、逆にわざと思い出さないようにするように指示して、その間の脳の活動を調べました。

 結果、学習の30分後とそのままひと晩睡眠を取った翌日にテストしたところ、嫌な記憶については、約3倍覚えていたのです。寝ている間に記憶が定着するというのはよく知られたことですが、嫌な記憶も鮮明なまま寝てしまうとよくありません。ましてや、嫌な記憶ほど残りやすいことも示されたのです。

 結局、ふて寝をすると、嫌な記憶はほぼそのまま残ってしまうということです。しかも、感情自体も一緒に記憶されるとのことです。実験結果からも、できるだけ違う、楽しいことをしたりしてから寝るのが良いようです。

 こうやって検証結果を見てみると、ついやりがちなストレス発散法には、実は逆効果なものも多々あることがわかります。嫌なことがあっても、やけ酒は飲まず、鬱憤を発散しようとせず、嫌な記憶も「解消」しようとしたりせず、とりあえずは、好きなことをするなどをして、過去を振り返らずに、常に前を向いて何か楽しいこと、幸せなことを探して日々暮らしていきたいですね。
(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

【参考文献】
Bushman, B. J., Baumeister, R. F., & Stack, A. D. (1999). Catharsis, aggression, and persuasive influence: Self-fulfilling or self-defeating prophecies? Journal of Personality and Social Psychology 76(3), pp. 367-76.

Carlyle, M, Dumay, N, Roberts, K, McAndrew, A, Stevens, T, Lawn, W. & Morgan, C. J. A. (2017). Improved memory for information learnt before alcohol use in social drinkers tested in a naturalistic setting. Scientific Report 7, 6213.

Holmes, A., Fitzgerald, P. J., Macpherson, K. P., Debrouse, L., Colacicco, G., Flynn, S. M., Masneuf, S., Pleil, K. E., Li, C., Marcinkiewcz, C. A., Kash, T. L., Gunduz-Cinar, O., & Camp M. (2012). Chronic alcohol remodels prefrontal neurons and disrupts NMDAR-mediated fear extinction encoding. Natural. Neuroscience 15, pp. 1359–1361.

Liu, Y., Lin, W., Liu, C., Luo, Y., Wu, J., Bayley, P., and Qin, S. (2016). Memory consolidation reconfigures neural pathways involved in the suppression of emotional memories. Nature Communications 7, 13375.

Nomura, H. & Matsuki, N. (2008). Ethanol enhances reactivated fear memories. Neuropsychopharmacology. 33, pp. 2912–21.

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