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成馬零一「ドラマ探訪記」

『ルパンの娘』壮大なボケに徹する姿勢に身悶え…異常に高い“虚構としての完成度”

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ルパンの娘 – フジテレビ」より

 ここ数年、低調だったフジテレビのドラマだが、月9(月曜夜9時枠)を中心に視聴率面では復調の兆しを見せ始めている。しかし、放送しているドラマは医療モノや刑事モノのオンパレードで、テレビ朝日のドラマと変わらないものとなっている。

 かつてフジのドラマにあった作家性の強さは失われつつあり、昔からのドラマファンとしては若干物足りない。しかし、テレ朝もそうだが、数字に余裕が出てくれば徐々に冒険もしやすくなるというもの。月9は保守的な作品がしばらく続きそうだが、一方、木10(木曜夜10時枠)はおかしな作品が生まれつつある。

 なかでも昨年放送された、ディーン・フジオカ主演の『モンテ・クリスト伯 –華麗なる復讐-』(フジテレビ系)は19世紀に発表されたフランスの小説を現代風にアレンジしたシリアスな作品だが、ツッコミどころ満載の珍品として、一部ドラマファンからカルト的な支持を得た。

 時代錯誤だが、つくりはシリアスでビジュアルは豪華絢爛。俳優の演技も含めて虚構としての完成度は高く、だからこそ、受け手次第でクラシックな感動大作にもツッコミどころ満載のネタドラマにもなり得る。

 今年1月には同じディーン・フジオカ主演のスペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ系)もつくられたが、古典を現代風にアレンジしたツッコミどころ満載のシリアス(すぎて笑える)ドラマ路線が、今のフジテレビに生まれつつあるのかもしれない。

“壮大なボケ”に徹する『ルパンの娘』

 その意味でも大注目なのが、今クールの木10でスタートしたドラマ『ルパンの娘』。本作は、一家代々、警察の血筋という桜庭和馬(瀬戸康史)と付き合うことになった三雲華(深田恭子)を主人公としたコメディだ。

 華は子孫代々、泥棒を生業としている“Lの一族”のひとり娘。泥棒家業を継ぐことを拒む華は図書館司書として働いていたが、刑事の桜庭と恋に落ち、素性を隠したまま付き合うことになる。

 言うなれば、警察一家と泥棒一家に引き裂かれた男女による『ロミオとジュリエット』なのだが、物語の安易さに反し、画面はゴージャスで映像の隅々までつくり込まれている。『モンテ・クリスト伯』同様、虚構としての完成度は異常に高く、そのつくり込みの分厚さが荒唐無稽なお話を支えている。

 早速、SNSでは「どこからツッコんでいいのかわからない」と話題となっているが、個人的に感心したのは作品がボケに徹していること。たとえば物語冒頭、華が和馬の家で両親にあいさつする場面があるのだが、4人の家族のほかにドンという飼い犬がテーブルを囲んでいる。しかし、犬がいることに対して誰も違和感を表明せずに、シリアスなやりとりが続いていく。

 普通に考えると深田恭子が演じる華がツッコミ役なのだが、彼女自身、怪盗一家のひとり娘という大きな嘘を抱えているためか、ほかのツッコミポイントはさらっと流してしまう。幼馴染の円城寺輝(大貫勇輔)と華が話す場面では、なぜかミュージカル調の歌唱場面となるのだが、そのことに対してもツッコミは無し。

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