台風5号に伴う九州地方の大雨も投票率に影響した。福岡、佐賀、長崎、鹿児島で前回よりも10%以上低下した。青森県の低投票率は、与党候補が序盤からリードしていたことに加え、統一地方選、県知事選に続く大型選挙で「選挙疲れ」が指摘されていた。

 このベスト5、ワースト5を見ると、投票率が上がれば「草の根選挙」の野党系が有利になり、低投票率だと組織選挙の与党が有利になる傾向が歴然だ。

注目すべきは若者の投票率

 史上2番目の低投票率となった今回の参院選で注目されるのは、若者の投票行動である。共同通信の出口調査結果では、20代、30代の4割超が比例代表で自民を選択したとされているが、保守ばかりではないだろう。街頭演説に多くの若者が押し掛けたれいわ新選組は比例区で約228万票を獲得し、得票率は4.55%に達した。消費税廃止、奨学金徳政令、最低賃金1500円といったれいわの政策に、若い世代はどう反応したのか。

 朝日新聞の出口調査では、回答者の5%がれいわに投票したと回答。比例代表で同党に投票した人は40代が29%と最多で、40代以下と合わせると6割を占めたという。既成政党に飽き足らない若い世代が、れいわを支えたのは間違いなさそうだ。

 問題は、若者の投票率。今回の年齢階層別の数字は2カ月後ぐらいに抽出結果が発表されるが、18~19歳の投票率(速報値)は31.33%だった。ちなみに前回(2016年)の参院選では、20~24歳が33.21%で最低。18~19歳は45.45%だったから、今回は大幅に低下した。前回の投票率の最高は70~74歳で、なんと73.67%。若い世代のそれとあまりにもかけ離れている。

 投票率68.7%を記録した2017年の英国総選挙では、18歳から24歳の若者層の投票率が66.4%に達したという。2015年は43%だったので20ポイント以上アップした。背景には「反緊縮」を掲げ、大学授業料の無料化や低賃金労働の廃止を訴えた労働党のコービン党首への共鳴があった。格差拡大や既存政治への不満を背景に「コービン・ブーム」が起き、若者が投票所に足を運んだのだ。最終的には、労働党は保守党を上回ることはできなかったが、保守党を過半数割れに追い込んだ。18歳から29歳の60%以上が労働党に票を投じた結果だ。

 今回の「れいわ旋風」は、英国の動きに通じるものがある。期待を寄せる有権者とは裏腹に「左派ポピュリズム」と批判的に見る向きもある。一過性のブームで終わるのか、大きな潮流となっていくのか。今回の参院選で選挙活動や投票所に足を運んだ若い世代の熱量が次の国政選挙に向けて持続し、さらに膨らむのかどうかも注目だ。

 新たな潮流が生じたことで、微かではあるが日本の政治に変化の兆しが表れてきた。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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