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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

マンションを「マイナス180万円」で売る…越後湯沢の“腐動産”で起きている不気味な事態

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

不動産は使い道がなくても捨てられない

 このように誰からも見向きもされなくなった越後湯沢リゾートマンションの所有者に、最近奇妙なダイレクトメールが届いているという。そのダイレクトメールはある不動産業者からのもので、宛名人である所有者に対して、「あなたの所有している部屋をマイナス180万円で購入します」というちょっとびっくりするような内容のものだ。

 マイナス180万円という意味は、あなたが買い手である私に180万円払ってくれるのなら、あなたのマンションを引き取ってあげてもよい、ということだ。よく、いらなくなったものを他人に差し出すときに「熨斗を付けてでも譲りたい」という表現が使われるが、ついに越後湯沢のマンションは「カネを払ってでも持っていってもらいたい」という代物になったということらしい。

 では、なぜマイナス180万円なのかというと、その理由は以下のようなものだ。

 まず物件価格は10万円である。マンションとしては無価値という意味での10万円だ。問題はこれからだ。所有者は修繕積立金、管理費を2年間滞納していると仮定して、月額5万円の24カ月分として120万円について、物件を引き受ける買手側が負いましょうというものだ。

 さらに部屋内の家具や家電類などの撤去費用で20万円、部屋の清掃費用や設備修繕費用で20万円、さらに買手側が負担すべき不動産取得税や登録免許税などの税金負担30万円も上乗せして計190万円。つまり、物件価格は10万円だが、引き取り費用190万円を差し引いてマイナス180万円で買ってあげます、ということになる。

 多くのリゾートマンションで管理費や修繕積立金の滞納が生じている。買手側がこの負担を負いたくないので、未払い分を購入額から差し引くということには理がある。だが、家具家電等の撤去費用や清掃費などは、かなりぼったくりの印象だ。売手側で行えばよいはずだが、売手もすでに高齢になっていて、わざわざ越後湯沢にまで出向いて処理する、清掃するのも億劫だし、どの業者に頼めばよいかもわからないケースがほとんどだ。そんな状況にある売手側の足元を見ているようにしか思えない。

 それどころか、本来は買手側にかかるはずの物件取得にまつわる税金などの諸費用まで、ちゃっかり売手側の負担にさせている部分などは詐欺まがいだともいえる。

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。
オラガ総研株式会社

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