NEW
木村隆志「現代放送のミカタ」

フジ月9『監察医 朝顔』法医学ドラマでも一味違う理由…視聴者の心をつかむ引き算の美学

【この記事のキーワード】

, , , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
フジ月9『監察医 朝顔』法医学ドラマでも一味違う理由…視聴者の心をつかむ引き算の美学の画像1
監察医 朝顔 – フジテレビ」より

監察医 朝顔』(フジテレビ系)というタイトルを聞いて、「また法医学の話?」と思った人は多いだろう。

 この5年間だけでも、沢口靖子主演の『科捜研の女』(テレビ朝日系)を筆頭に、武井咲主演の『ゼロの真実~監察医・松本真央~』(同)、寺脇康文主演の『ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~』(テレビ東京系)、石原さとみ主演の『アンナチュラル』(TBS系)、錦戸亮主演の『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)が放送され、今夏も上野樹里主演の『監察医 朝顔』と、大森南朋主演の『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(テレビ朝日系)がラインナップされている。

 しかし、『監察医 朝顔』は同ジャンルの他作品とは異なる魅力を持っていたし、事実として、視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は13.7%、12.6%の高水準。さらに、ネット上のコメントも好意的な声が占めるなど、ここまでは素晴らしい成果が出ている。

 その理由を掘り下げていくと、スタッフとキャストの挑戦と真摯な姿勢が浮かび上がってきた。

各話のエピソードは驚くほどシンプル

 もともと、法医学をモチーフにした作品は「さまざまな死因が考えられる」という意味で、「殺された」という一元的な展開に縛られる刑事モノよりも物語のバリエーションが広い。また、「死者の人生をひも解き、残された者の人生を前に進める」というドラマチックな展開が可能なため、引き込まれる人が多いという強みがある。

 そのため、死者と残された者の人生を劇的にすべく、極端につらい日々を描いたり、根っからの悪党を登場させたり、死の謎解きを複雑にしたり……と策を弄する作品が多いのだが、『監察医 朝顔』は拍子抜けしてしまうほどシンプル。第1話の「倉庫で溺死」、2話の「猛暑の中で凍死」というエピソードは、二転三転することもなくあっさりと終了した。

 しかし、過剰な要素のないシンプルさは、穏やかなトーンの映像も相まって、リアルさにつながっている。近年、SNSでの反応を狙って、いたずらに登場人物を増やし、大事件を起こし、伏線を組み込む作品が目立つだけに、まるで引き算をするような当作のスタンスは新鮮だ。

 各話のエピソードがシンプルな分、じっくりと描かれているのは、主人公の万木朝顔(上野樹里)が背負う悲しみ。ここが当作の肝であり、金城綾香プロデューサーの思い切りと覚悟が光っている。

佇まいだけで感情を伝えられる上野樹里

 原作漫画では、朝顔の母・里子(石田ひかり)が亡くなったのは阪神・淡路大震災だったが、ドラマ版では東日本大震災に変更。この変更によって朝顔の悲しみは、「行方不明のまま」「今も母を探してしまう」という現在進行形のものになり、視聴者の共感を加速させている。

 そもそも漫画原作のアレンジは、ファンを中心に「なぜ変えた?」「改悪!」などと酷評されがちであり、プロデューサーにとってはハイリスクなもの。ましてや、原作を変えて扱うモチーフが東日本大震災となれば、当地の被害者だけでなく、不特定多数のモラリストたちから批判を受ける可能性が高い。

『話しかけなくていい! 会話術』 「話がうまい人」になる必要はない。無言でも、ひと言でも、人に好かれるための画期的コミュニケーション術! amazon_associate_logo.jpg
『嵐の愛され力~幸せな人生をつかむ36のポイント~』 嵐に学ぶ人から好かれる、人を好きになれる人間力の磨き方。明日から使える36個の“○○力”。年齢・性別を問わずマスターできる。 amazon_associate_logo.jpg

フジ月9『監察医 朝顔』法医学ドラマでも一味違う理由…視聴者の心をつかむ引き算の美学のページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事

BJ おすすめ記事